巨人、“社会人偏重ドラフト”に孕む危険性 球界関係者からも「巨人の指名、大丈夫ですか」と疑問の声が続々

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“社会人偏重”の危うさ

 もう一つ気になる点は、若手選手の“育成状況”だ。

 昨年のドラフト1位で、将来の主軸打者として期待される浅野翔吾は、今季24試合に出場し、打率.250、1本塁打と、高卒1年目としてはまずまずのスタートを切った。だが、過去2年の育成ドラフトで指名され、支配下登録を勝ち取った選手は、大卒の菊地大稀(2021年育成6位)と松井颯(2022年育成1位)のみだ。

 高卒の育成選手は、2年目の京本眞(2021年育成7位)が今季二軍で5勝と結果を残したものの、他の選手の大半は、三軍でプレーしている。今後、一軍で戦力になるのか、あまりに未知数な部分が多い。

 今季、リーグ優勝を果たした阪神とオリックスは、高校生から独立リーグに至るまで、あらゆるカテゴリーからバランスよく選手を指名し、チームの強化に成功している。やはり、巨人の“社会人偏重ドラフト”には、危うさを感じざるを得ない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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