昨年のM-1王者「ウエストランド」はブレイクしたか 得意とする“毒舌芸”の難しさを指摘する声も
見ている方が笑えない
今の時代、少しでも“毒”を出そうとするあまり、なんでもかんでも罵倒すると、ネット上で侮辱や誹謗だとすぐに批判されてしまう。漫才としてはストレートに楽しめて共感できるものの、世の中に知られた瞬間に、その芸風を絶妙なバランスで維持することが難しくなる。つまりテレビ向きではない芸風がマイナスになっているのか。
「彼らには、悪口ネタ以外の芸風が欲しいところですが、井口さんのマシンガンのような毒舌のイメージが強すぎるせいか、新境地開拓はそう簡単ではないでしょう」
前出のベテラン記者は、こう指摘したうえで、毒舌芸の難しさをこう語る。
「確かに井口さんのツッコミは当意即妙ですが、息せき切ってカマないように早口で話し続ける姿が必死すぎて、見ているこっちが笑えないこともあります。同じ事務所の先輩である爆笑問題は、時事問題をいじり毒舌と共に鮮やかに斬る芸風です。特に井口さんと同じボケの太田さんは、皮肉を込めた微妙なラインをついて笑いを取る技術が高い。対して井口さんは直接的な悪口の連射が多く、そこに差がありますね」
毒舌とは本来、アドリブで自然に出てくるものが一番面白いのだが、悪口漫才として舞台上での技術に特化するとしても、メディアに露出していないと、その存在がすぐに忘れ去られてしまうご時世である。芸人と同時に、テレビタレントとしても仕事をこなしていくための力量や能力も磨かなければならない――M-1王者になったが故の喜びでもあり、苦しみでもあるのかもしれない。
新しいM-1王者が誕生する1か月ほど前になるが、ウエストランドは11月14,15日に、5年ぶり3回目となる単独ライブを開く。新境地を開くネタが展開されるか、注目だ。