脳トレより有効な「推し活」「アロマ」 認知症予防に期待大の研究結果が
われわれの脳は、幼い頃にとどまらず高齢になってもなお、新しい神経細胞を生み出すことができるという。分子生物学者、脳科学者の西剛志氏が語る「推し活」「アロマ」の重要性とは。
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われわれが取り入れた外部の情報は、脳が活動して覚醒状態にある「レム睡眠」の間に脳内で統合され、記憶として定着していくといわれています。
その「情報の統合」という観点からすれば、何かに集中して取り組んだ後、ボーッとして何も考えない時間があったほうが好都合です。自著『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)でも触れましたが、実はそういう時間に脳は非常に働いている。例えば読書後にボーッとすることで、読んだ内容は無意識下で整理されます。またわれわれは、歩いている時や入浴中、世間話をしている時などにいいアイデアが浮かぶことがあります。違うことをしながら、脳はしっかり働いているのです。
こまめな休憩の意味
考えを巡らせて理性が活動している時は、脳においては前頭前野に血流が集中しており、脳全体が活性化しているわけではありません。反対に、体を動かして理性を抑えると、その前頭前野に集中していた血流が脳全体に回って統合機能が働くので、さまざまな情報が縦横無尽に整理されていきます。勉強している時でも、合間にこまめに休憩をとったほうが、情報がその都度統合されて定着しやすくなります。電車に乗っている間にちょっと勉強し、乗り換えや降車時に中断するというのは、そのたび情報を整理統合する機会が生じるので合理的だといえます。
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