“人質立てこもり”捜査はどう行われるのか 元捜査一課長、捜査員が証言、深川通り魔事件で川俣軍司に突入する緊迫の瞬間

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なぜ、埼玉の現場に警視庁が?

 10月31日に埼玉県蕨市で起こった拳銃使用による人質立てこもり事件は、発生から約8時間後の午後10時20分ごろに埼玉県警が突入、人質強要処罰法違反の疑いで同県戸田市の鈴木常雄容疑者(86)を逮捕した。

 この事件では、管轄する埼玉県警捜査1課だけでなく、警視庁捜査1課特殊班(SIT=Special Investigation Team)も現場に派遣された。警視庁SITは、今年5月25日に長野県中野市で起きた警察官を含む4人が殺害され、解決までに12時間を要した猟銃立てこもり事件にも派遣されている。

「警察庁は全国を5つのエリアに分け、銃器使用の立てこもり事件が発生した場合には、警視庁や大阪府警など、あらかじめ指定した5つの警察本部から派遣部隊を出します。今回、警視庁SITが埼玉に出動したのも、このパターンです」(社会部記者)

 警視庁SITは、立てこもりや誘拐事件の現場に投入される。同様の部隊は各県警にもあり、埼玉県警には「STS(Special Tactical Section)」が存在する。また、今回のように犯人が銃や武器などを使用する場合には、警備部に所属する特殊急襲部隊SAT(警視庁など8府県警に所属)が対応することもある(長野の事件では、神奈川県警がSATを派遣していた)。

 埼玉県警にも訓練された部隊があるとはいえ、やはり人員(SITは約40名)や装備資機材に訓練など、警視庁SITはあらゆる経験が豊富だ。特に、立てこもり事件で最重要となるのは、人質の無事確保。それを成功に導くには、犯人を説得することに尽きる。解決までに時間がかかるのはそのためで、見ている側からすると「早く突っ込め」とか「警察は何している!」と思いがちだが、現場では人質の命を最優先に、特殊班が細心の注意を払っているのだ。

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