「なんで俺がこんな病気に!」「収録に向かう途中に泣き叫び…」 アルツハイマーを告白した梶原しげるが語る前兆と黒柳徹子への感謝
やたらと物をなくした
〈ラジオの収録現場で「異変」を指摘される前に、“前兆”のようなものはなかったのか。〉
梶原 私はたばこは吸わないし、酒もそんなに飲まない。運動もそこそこ。食事を軽んじていた、というのは少しあるかもしれません。おいしいもの、体に良いものを食べることより、誰と会って何を話すか、の方が興味あるんですよね。その他に何かあるかなぁ?
竹村 たぶん、忘れちゃってる。すごくいっぱいあると思いますよ。銀行の預金通帳なんか、3回くらいなくしてるじゃないですか?
梶原 ああ、そうだ。アルツハイマーになる前、やたらと物をなくしたんですよ。やたら! もう、うっかりがすごいんですよ。銀行の通帳なんて、バンバンなくしたね。物をよくなくすようになったのは、1、2年前くらいからかな。家のカギなんてものはね、しょっちゅう忘れるんで。同じ所にしまってあるのを忘れてしまって「分かんない、無い無い無い無い」って言って、鍵屋で新しいカギを作る。だからある時、家の中からカギが10個も出てきてね。クレジットカードもどんどんなくして。再発行を繰り返して、古いものと新しいものの違いが分からなくなって、古いカードで買い物をしようとする。そういう混乱がよくありました。でも、なんで2年前くらいからだったんだろう?
便利という言葉がストレスに
竹村 コロナ?
梶原 コロナはないね。でも2年前くらいからちょっとボーっとしてたんだね。疲労はなかったはずだけど。
竹村 それはないですね。
梶原 うん。ただ、新規事業をやったじゃない?
竹村 そうです。オンラインの話し方教室が始まって。最初は「Zoom」とかも普通にできていたんですけど、それがだんだん怪しくなってきたんですよ。「どうやってやるんだ?」と聞いてきたり。
梶原 操作ができなくなっちゃった、というね。もうキーボードを見るだけで嫌になっちゃうというか、そういうのがすごいストレスになっていた時期がありましたね。便利っていう言葉が、自分にとってすごい不便なことだっていう。何でもできるっていうのは、何もできないっていうことなんですよね。
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