日本シリーズで「松坂大輔」にとどめを刺した意外な伏兵も…チームを日本一に導いた“3人の脇役たち”

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「食らいついていこうと、一生懸命打ちました」

 星野仙一監督率いる楽天が球団創設9年目の日本一を実現した2013年の日本シリーズ。チームの勝利を決定づける効果的な一発を放ったのが、近鉄の球団消滅時に「分配ドラフト」で楽天に移籍してきた牧田明久である。

 楽天移籍1年目に1軍初出場をはたした牧田は年々出場機会を増やし、2012年は123試合に出場し、9本塁打を記録。“和製大砲”と期待された。

 だが、翌13年は4月に手首を痛めた影響で27試合出場にとどまり、チームのリーグ優勝決定時も2軍だった。そんな牧田に大きなチャンスがめぐってきたのが、3勝3敗で迎えた巨人との日本シリーズ第7戦だった。巨人の先発・杉内俊哉に対し、星野監督は“左キラー”牧田を9番センターで先発起用した。

 楽天が2対0とリードの4回、投手は2番手の右腕・沢村拓一に代わっていたが、そのまま打席に立った牧田は「食らいついていこうと、一生懸命打ちました」と、甘く入ってきたスライダーを見逃さず、左中間席に運ぶ。この3点目が大きくモノを言い、楽天は悲願の日本一を達成。遅咲きの苦労人も「最後に監督が使ってくれて、意気に感じます」とプロ13年目の快挙に感激しきりだった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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