「カネの話なんだろ」 辞職の柿沢副大臣「江東区長選での買収疑惑」について現役区議が爆弾証言
内ゲバと化した選挙戦
10月31日、自民党の柿沢未途(みと)法務副大臣(52)が副大臣の辞表を提出した。柿沢氏は4月の東京都江東区長選で木村弥生区長(58)側が有料のインターネット広告を出した疑いがある公職選挙法違反事件でネット広告を提案したとみられている。辞任はそれを受けてのものだったが、さらに、区長選に絡んで江東区議たちにカネをばらまこうとしていたという驚くべき証言が飛び出した。
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4月の区長選における木村氏の対抗馬は、都議を4期務めた山崎一輝氏(50)で、父親は区長選告示日直前の今年4月に膀胱がんで亡くなった前区長の孝明氏(享年79)。自民党都連の重鎮で、23区の区長でつくる特別区長会の会長でもあった孝明氏は、豊洲の新市場や五輪会場の問題などで、小池都知事に物申せる区長として存在感を放ってきた。一方の木村氏は、元衆議院議員で内閣府副大臣などを務めた木村勉氏を父に持ち、自身も2014年から21年までは自民党の衆議院議員だった。
いざ選挙戦が始まれば、木村氏にはかつての同僚である野田聖子氏や稲田朋美氏ら自民の女性政治家が支援を表明したが、対する山崎陣営は、菅義偉前首相や自民党の茂木敏充幹事長ら大物政治家が続々応援に駆け付けた。
丸川珠代都連会長代行に至っては、出陣式で「自民推薦で戦うのは山崎候補ひとり!」と絶叫してみせた。
「地元の区議をはじめ自民支持者からすれば、今回の区長選は志半ばで亡くなった孝明さんの弔い合戦なわけですよ」
とは自民党関係者だ。
「もともとは孝明さんが出馬する予定でしたが、体調不良で断念し、息子の一輝さんが候補者となった。長年、孝明さんと親しかった萩生田光一都連会長が党の推薦を取り付けて、オール自民で闘おうと柿沢さんにも支援を呼びかけたのですが、柿沢さんは態度を鮮明にしないどころか裏では木村陣営の応援に回っていたわけです」
まさに自民の内ゲバと化した選挙戦で、柿沢氏は何をしていたのか。
「カネの話なんだろ」
「今年の2月ごろ、選挙の前に柿沢さん本人から直接、“ごあいさつしたい”という電話がありましてね」
そう明かすのは、さる江東区議だ。
「多忙を理由に断ったんだけど、再び柿沢さんの秘書からも電話があった。同僚区議からは、木村陣営に柿沢さんのスタッフや後援会の人間が相当入ってカネをばらまいているという話を聞いていましてね。だいたい2月中旬から3月、返事を保留していた人は4月の選挙直前まで持ち掛けられていたみたい。区議同士で“あなたのところには持ってきた?”って聞き合っていたくらいだったので、私への連絡もそういうことなんだなと……」
先の区議の電話のやり取りを、以下に再現しよう。
――柿沢議員秘書
「ちょっと(柿沢議員)本人がごあいさつに行きたいのですが……」
――区議
「カネの話なんだろ」
――柿沢秘書
「それも含めて……」
――区議
「お金だったらいらないよ。票をくれるという話なら、会ってもいいけどね」
――柿沢秘書
「ああ、そうですか」
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