大炎上「高齢者は“延命治療NO”宣言を」がスルーした「延命治療現場のリアル」 高齢者の9割は「延命治療はせず、自然に任せてほしい」と思っている
胃ろう「1年後に3割死亡」
延命治療の一つである胃ろうについては、厚労省が今年6月に報告した調査で、対象となった20歳以上の国民の63.3%が「(胃ろうを)望まない」と回答(「令和4年度 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査の結果について」より)。経鼻栄養や人工呼吸器の装着についても、それぞれ54.5%、57.3%が「望まない」と回答している。
「胃ろうの造設件数が年々減ってきているのは確かです。自分で食べる力と認知の機能が衰えた状態で、本人の意思と無関係にチューブで栄養補給することへの抵抗感は根強い。また胃ろうを造設しても1年後に亡くなる人が約30%、2年目以降には約半分の方が亡くなるという調査データも存在するなど、胃ろうの功罪が知られるようになってきたことが背景にあるかもしれません」(岡田氏)
松本氏の発言の裏には“未来の世代を憂う”気持ちがあったかもしれないが、現実には多くの高齢者が延命を希望しているというより、「医療の進歩や高齢化の加速といった要因が現在の超高齢化社会を生み出している」(前出・医療関係者)と考えたほうが自然という。
ただし、意識もないのに体中に管を挿され、単に心臓が停止していない状態を保つことが、その人の尊厳を奪う行為に等しいとの指摘については、多くの人が納得するところだろう。