オーガスタ・ナショナルに7人目の女性メンバーが誕生 ナゾ多き名門クラブの実情とは
入会の基準も不明
オーガスタ・ナショナルが明かさないのは、女性メンバーに関することだけではない。従来からの男性メンバーが何名所属しているのかも公表されておらず、メンバーの氏名も年齢も職業も、一切、外部には知らされないことになっている。
どうしたらメンバーになれるのか。いくら払えばメンバーシップを購入することができるのか。そうした条件や資格も何一つわからず、たとえ億万長者でも、たとえアメリカ合衆国大統領でも、オーガスタ・ナショナルから「メンバーにふさわしい」と認められない限り、グリーン・ジャケットを羽織ることはできないと言われている。
長年の「噂」によれば、「オーガスタ・ナショナルのメンバーになりたい」と名乗りを上げた人々はウエイティングリストに載せられ、「空き」が出るのを待っているとのこと。その人数は200名とも300名とも推測されている。
謎だらけ、秘密だらけで、ほとんど雲を掴むような話だが、それでもなお「オーガスタ・ナショナルのメンバーになりたい」という希望者が後を絶たないのは、オーガスタ・ナショナルやマスターズの伝統と格式、そして秘密のベールに包まれた謎の数々に果てしない魅力を感じるからなのだろう。
細かすぎるルール
オーガスタ・ナショナルの「謎」は、マスターズ期間中、ギャラリーやメディアも必ずや感じさせられる。
コース上では「携帯電話を持ち出してはいけない。使用してはいけない」とされ、この規定に違反したメディアは即座にクレデンシャル(メディア証)を没収されて会場から追放されることになっている。
さらには、こんな決まりもある。ギャラリーもメディアも、コース上では「走ってはいけない」「寝転んではいけない」「靴を脱いではいけない」。
私自身、マスターズ取材に赴いた最初の数年間は「なぜ?」「どうして?」とずいぶん戸惑い、首を傾げさせられた。しかし、マスターズ取材歴が20年を超えたころからは「それがオーガスタ・ナショナル、それがマスターズというものなんだ」とようやく思えるようになった。
リドレー会長いわく、「これからはグリーン・ジャケットを羽織る女性メンバーの姿を、もっと目にすることになる」。
それが近代のオーガスタ・ナショナルの新しい在り方ということなのだろう。