オーガスタ・ナショナルに7人目の女性メンバーが誕生 ナゾ多き名門クラブの実情とは
発表ナシの理由
未確認情報のまま報じられたソレンスタムのメンバー入りは、その翌日、オーストラリアのロイヤル・メルボルンで開催中だった「アジア・パシフィック・アマチュア選手権」(10月26~29日)を訪れていたオーガスタ・ナショナルのフレッド・リドレー会長が米欧メディアからの問いかけに「オーガスタ・ナショナルは彼女を歓迎している」と答えたことでようやく「確認」された。
それにしても、本来なら朗報であるはずのソレンスタムのメンバー入りが、大々的に発表されないのはなぜなのか。その理由は、オーガスタ・ナショナルの在り方と密接な関係がある。
オーガスタ・ナショナルは1932年に米ジョージア州アトランタ郊外のオーガスタで創設されたプライベートクラブで、当初からメンバーシップは「男性オンリー」とされていた。創設から2年後の1934年からゴルフの名手たちを招いて「マスターズ」を開催し、この大会は世界的な「ゴルフの祭典」へと成長。しかし、オーガスタ・ナショナルのメンバーは、21世紀を迎えても「男性オンリー」のままだった。
やがて女性の人権擁護団体が抗議の声を上げ始め、マスターズ・ウィークにオーガスタ・ナショナルの目の前でデモ集会を開くなどして、オーガスタ・ナショナルの体質や姿勢を激しく批判したこともあった。
そして2012年、ついにオーガスタ・ナショナルは初の女性メンバーを受け入れたことを発表。元米国務長官のコンドリーザ・ライス 女史とサウス・カロライナ州の資本家ダーラ・ムーア 女史の2名にグリーン・ジャケットが授けられた。
その後もUSGA(全米ゴルフ協会)の元会長やIBMの元CEOなど4名がさらなる女性メンバーとして加わったと言われており、おそらくソレンスタムは7人目の女性メンバーだと思われるのだが、確認することは難しい。
なぜなら、プライベートクラブであるオーガスタ・ナショナルは、メンバーシップに関することや個々のメンバーのプライバシーに関しては、一切、公表も公言もしないことが鉄則とされているからだ。その「鉄の掟」があるからこそ、「ソレンスタムが女性メンバーになったらしい」と報じられた際、彼女自身も、彼女の家族も、もちろんオーガスタ・ナショナルも、みな「ノーコメント」を貫いていたのだと思う。
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