「娘は毎日“劇団に居たくない”と泣いていた」「1日20時間労働」 宝塚劇団員の親たちが明かす「凄絶ブラック労働」の実態

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宙組の雰囲気は…

 一方でこうも言う。

「劇団の生徒は花組、月組、雪組、星組、宙組という五つの組と、どの組にも所属しない専科に振り分けられます。どの組でも基本的に、生徒たちのヒエラルキーの頂点に立つのは男役のトップスター。彼女たちが組の雰囲気を決めます」(同)

 さらに続けて、

「現花組娘役トップの星風(ほしかぜ)まどかは、元は宙組娘役トップでした。その星風を宙組前男役トップの真風涼帆(まかぜすずほ)がいじめ抜き、2020年11月に専科に追いやったという話もある(星風は21年7月、花組娘役トップに就任)。その真風が今年6月の退団まで男役トップとして宙組に君臨していたわけで、宙組の雰囲気は推して知るべしでしょう」

 もっとも、原因となる問題は宙組内特有の人間関係だけではないだろう。

週刊新潮」10月26日号でも報じた通り、現役団員やOGの父兄たちが殺伐とした劇団内部の空気の元凶として口々に訴えるのは、宝塚の「女工哀史」とも言うべき劣悪な労働環境である。

はじめは手取り15万円程度

 まず、押さえねばならないのはその特殊な労働契約だ。宝塚の「生徒」は宝塚音楽学校で「予科生」「本科生」の2年間を経て、「研究科生」となる。宝塚の劇団員が生徒と呼ばれるのは、全員が研究科生だからだ。研究科1年目を「研一」と言い、5年目なら「研五」と呼称する。研究科生になる際に、研五までは一律に阪急電鉄の一部門である宝塚歌劇団の社員として契約を結ぶのだが、

「研二、研三では手取りは月15万円程度。研六からは契約方法が変わって、いわゆるタレント契約になり、個人事業主として劇団と契約するようになる。ですが、それでもらえるお金が格段に増えるわけではなく、例えばAさんと同じ研七なら、年間で300万~400万円の稼ぎといったところでしょう」

 こう語るのはさる現役団員の父親だ。

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