「ここは地獄」ガザに残る「国境なき医師団」日本人スタッフの証言 「助けられるはずの命が失われる」

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ホロコースト以来の…

 パレスチナ自治区・ガザを実効支配しているイスラム組織・ハマスが突如、イスラエルをロケット弾で攻撃。殺りくと拉致に手を染めたのは10月7日のことだった。

「攻撃の背景には、ガザ地区の住民にたまってきていた自分たちへの不満を外に向けたいという狙いがあったと思います」

 とは、現代イスラム研究センターの宮田律理事長である。

「ハマスがガザを支配して16年たちますが、住民の暮らしは一向に改善されない。不満が高まる中、求心力を高めたいという意図があった。また、アラブの盟主であるサウジアラビアがイスラエルとの国交正常化に動いていた。それを阻止したいという意向も大きかったのでしょう」

 このテロで出た死者は1400名以上。これはイスラエルにとって、半世紀前の第4次中東戦争以来最も多い犠牲者数だ。ナチスによるホロコースト以来の衝撃に遭遇して即座に反撃。ここまで空爆によるガザ地区での死者が5千人を超えているのは先に述べたとおりだ。

「19日のメッセージを最後に…」

 ガザは福岡市ほどの広さに220万人が暮らす、世界有数の人口密集地。周りはイスラエルによって高さ8メートルの壁に囲まれ、移動や物流が制限されている。常に監視下に置かれ、「天井のない監獄」と言われているが、その封鎖された空間に爆弾を浴びせているのだから、阿鼻叫喚の事態を招いているのは当然なのである。

「現地パートナー団体のスタッフ、ウィサムさんからは折に触れ、安否を知らせる連絡が来ていました」

 と言うのは、NGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」のパレスチナ事業現地調整員・大澤みずほ氏である。

 直近の内容は以下のものだったという。

〈空爆による恐怖が子どもたちに襲いかかるたびに、私たちは死を感じています。近くで空爆があり、外の通りから大勢の人々の「次はうちが空爆される!!」という叫び声が聞こえ、恐怖に泣き叫ぶ子どもたちを抱きしめて建物の下の階に降りました〉

〈8時間も通りに座り込み、その間もずっと子どもたちは叫んでいました。その後、上の階に戻りましたが、恐怖はおさまりません。私たちはどうしたらいいのかわかりません。通りにいた方がいいのか、上の階に戻ることが正しいのかもわかりません。私たちはただ毎日、翌朝生きて目覚めることだけを願っています〉

 しかし、

「この10月19日のメッセージを最後に彼女からの連絡は途絶えてしまっています」(大澤氏)

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