低強度の運動で「ビジネス脳」が鍛えられる! 「きつい運動」よりオススメの理由とは

ドクター新潮 ライフ

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ムードチェンジ機能

 実際に、前頭前野の実行機能、いわゆる「ビジネス脳」である集中力・判断力では、超低強度のペダリングを3カ月間続けるだけで十分効果が上がることが分かりました。ペダリング以外に日常生活で(超)低強度運動を取り入れるとしたらスローランニングや体操、スローエアロビックなど楽しく継続できるものがよいと思います。

 そもそも運動には、気持ちを前向きにするムードチェンジの機能があります。負荷のかかるものを嫌々やらされるのではなく、お花見に行くために早歩きしたり、仕事帰りに一駅分の距離を歩いて街の景色を楽しんだりとかして、前向きな気持ちで「脳フィットネス」を楽しめば、前頭前野の実行機能も、いっそう改善効果が望めます。

フリフリグッパー体操

 超低強度運動、例えばウォーキングなどはストレスがかからない反面、通勤などの移動形態でもあり、つまらないと感じられがちです。その点も踏まえ、音楽に合わせて立って運動する「フリフリグッパー体操」というプログラムを考案しました。

 かれこれ22年、茨城県の利根町で高齢者の方々を対象に認知症予防の運動教室を開いています。初めて来たときに70歳だった方がいま90歳で参加していますが、皆さん背筋もまっすぐでかくしゃくとしています。

 肩幅に足を開いてやや内股でまっすぐ立ち、かかとを交互に上げます。続いて頭を動かさずに腰を振り子のように左右に動かします。そして腕を広げて息を吐きながら両手をグーの形にし、胸の前でパーの形にしてパンとたたく。以上を1回につき最低3分間、音楽に合わせて繰り返します。これが、楽しみながら手軽にできるフリフリグッパー体操です。

 高齢者では、「加齢脳」といって脳が萎縮していたり、それによって認知機能が低下していたりするケースがあります。ところが、こうした脳の萎縮は、少なくとも運動時には進行が止まっていることが、利根町での1年間の運動介入研究で分かってきました。

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