史上最多“東都7人衆”がドラフト1位を席巻! 戦国「東都」が、名門「東京六大学」を圧倒した理由

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最大の違いは熾烈な“入れ替え戦”

 10月26日に行われたプロ野球のドラフト会議では、育成を含めて122名(支配下72名/育成50名)の選手たちがNPB球団の指名を受けたが、その中で特に話題を集めたのは、東都大学リーグから1位指名を受けた7人の投手たちだろう。これまでのドラフトで、同一リーグから複数の選手が1位指名を受けたケースは過去4回あるものの、4名が最多だった。今回の7人は史上最多を大幅に更新。亜細亜大の木佐貫洋投手(巨人)と永川勝浩投手(広島)、専修大の江草仁貴投手(阪神)、日本大の村田修一選手(横浜)ら、東都大学リーグの「松坂世代」が指名を受けた2002年以来、21年ぶりの快挙となった。【白鳥純一/ライター】

 特に2季連続で東都リーグを制し、大学野球の日本一を決める全日本大学選手権(6月)では17年ぶりの優勝を掴みとった青山学院大学からは、常廣羽也斗投手(広島)、下村海翔投手(阪神)という2人のドラフト1位指名投手を含め、3名のプロ選手が誕生。その勢いは目覚ましく、「戦国東都」と呼ばれる実力の高さを改めて証明することになった。

 東都大学リーグは22校による4部制のリーグで、3部までは各6チームで構成されている。年に2回、「2戦先勝」方式による総当たりのリーグ戦が開催される。その後に、上位リーグの最下位と下位リーグの勝者による入れ替え戦が行われる点が、同じ神宮球場を拠点とする東京六大学との大きな違いと言えるだろう。

 毎年11月に行われる入れ替え戦では、2季連続で日本ハムが指名権を獲得した最速158キロを誇る左腕・細野晴希投手が在籍する東洋大学と、過去には広島の新井貴浩監督らを輩出した駒沢大学との対戦が決定。来春の1部リーグ参加を懸け、2戦先勝方式による熾烈な戦いが繰り広げられることになるだろう。

「ドラ1投手」も2部リーグでプレー

 東都が高いレベルを維持している理由に入れ替え戦の存在を挙げる者は多いが、今秋の1部リーグはそれが特に顕著で、終盤まで全てのチームが優勝も入れ替え戦も有り得るという大接戦が続いた。

 最終的に、勝った方がリーグ覇者となる青山学院大対日本大(10月17~18日)の試合では、常廣と下村のドラ1コンビが好投。2戦目には楽天からドラフト6位指名を受けた中島大輔選手の満塁本塁打が飛び出すなど、力の差を見せつけた青山学院大が日大に連勝して春に続く連覇を掴み取った。たとえドラフト上位候補が揃っていても、栄冠を手に出来るかどうかわからない競争の激しさは、東都リーグのレベルアップに一役買っていると言えるだろう。

 ちなみに、今秋のリーグ戦で最優秀投手を手にしたのは青山学院大の常廣。投手部門のベストナインと最優秀防御率は、3球団競合の末に埼玉西武への入団が決まった武内夏暉投手(國學院大)が獲得した。昨秋の1部リーグを制した國學院大だが、今秋は6勝7敗の4位と低迷。武内は1人で5勝を挙げる活躍で、チームの1部残留に貢献した。

 巨人から1位指名を受けた西舘勇陽投手(中央大)や中日が外れ1位で指名した草加勝投手(亜大)も、過去の東都1部リーグでタイトルの獲得実績を持つなど、その実力は折り紙つきだ。東京ヤクルトから1位指名を受けた西舘昂汰投手(専修大)に至っては、2部リーグでプレーを続け、昨秋に最優秀投手を獲得してチームの2部優勝に貢献したものの、駒沢大との入れ替え戦に敗れ、1部昇格を果たすことができなかったという投手だ。「東都7人衆」と呼ばれる投手たちが厳しい環境で真摯に野球に向き合った4年間が、ドラフト1位の栄冠を手繰り寄せたと言っても過言ではないだろう。

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