弘道会版“最強秘密諜報部隊”「別班」 その実力を知らしめた北関東抗争の当事者が出所していた

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十仁会の初代会長

 話を抗争に戻すと、この際に活躍したのが弘道会の秘密組織「十仁会」なのだという。

「ひとことで言うと諜報組織ですね。敵対組織やターゲットの個人情報はもちろん、愛人やカネなど弱みと思われるものを握って利用したり、海外に出て水面下の仕事をこなしたりなどを担っていると聞いています」(同)

 わかりやすいところでは、自衛隊の「別班」を想像すれば良いのだろうか。TBSドラマ『VIVANT』の題材になったことで一躍全国区の知名度を得た組織だ。このドラマの参考資料に挙げられていた『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』(石井暁著・講談社現代新書)には、身分を偽装した自衛官が国内外でスパイ活動を行う、陸上自衛隊の非公然秘密情報部隊とある。

「闇の組織であり、選ばれた構成員が組織のために全てを捧げるという意味では近いのかもしれませんね」(同)

 ターゲットを尾行したり、銃器を扱ったり、時に敵対組織に紛れ込んだり……。別班同様、どこにどれくらいの規模で存在するのか定かではないが、徳丸組(本部:愛知県名古屋市)の徳丸孝志組長が十仁会の初代会長だったというのが世間的にしばしば語られていることだ。

諜報活動で暗躍

「現在は3代目となって、存在しているようです。もっとも、“オレは十仁会の仕事をやっていた”などと打ち明ける組員は皆無で、情報も入ってこないので判然とはしませんが。弘道会を率いていた司忍組長は抗争を終結させた2年後の2005年7月、6代目山口組組長に就いています。十仁会の実力を知らしめたこともトップ就任に影響を与えたとされていますね」(同)

 弘道会は警察当局との交遊を禁じ、組事務所への家宅捜索時などには捜査員はもちろん、家族構成や彼らの写真や連絡先をこれみよがしに置き、捜査当局を困惑させたことも話題になった。

 もっとも、そういった当局への行き過ぎた行動や過剰な抵抗が弘道会に対する頂上作戦を発動させ、司忍組長や高山清司若頭の逮捕・起訴、収監につながって行くことになる。

「捜査員の個人情報の取得ひとつとっても、十仁会の仕事だったと思われます。単純に尾行するだけだと得られる情報は十分ではありませんから、関連する業者や個人情報を扱う役所などにも弘道会の息のかかった連中が浸透していたとみるのが自然でしょう」(同)

 目下、6代目は神戸山口組側への切り崩し作戦を進めている。そうした際に「情報」が強い武器になるのはどの世界でも同じことだろう。

デイリー新潮編集部

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