「就活」の突破術とは? 人気企業人事が明かす「面接で本当に知りたいこと」 「ガクチカ」のアピール方法
様変わりした「安定性」
学生の就職事情に詳しいマイナビキャリアリサーチラボ研究員の長谷川洋介氏が言う。
「学生への就職意識調査で企業選択のポイントを尋ねたところ、『安定性』を重視する傾向にありました。ただし、これは保護者世代がイメージする安定企業、いわゆる大手や上場企業を必ずしも指していません。学生は今後のキャリア形成を意識して企業を選んでおり、関心は“安心して働ける環境かどうか”という点に移っている。調査では、福利厚生の条件に注目する学生が多いことも分かっています」
ここでも世代間ギャップがあるといい、
「今の就活生にとっての福利厚生とは、社員旅行や保養所の有無が中心ではありません。特別休暇などの制度が整っており、どのくらいの社員が活用しているか、住宅手当等は充実しているかなど、いわゆるワークライフバランスに関わる部分を重視しているのです」
成長してスキルを身に付けたいという意欲
現代は「変動性」「不確実性」「複雑性」「曖昧性」を意味する英単語の頭文字をとって「VUCA(ブーカ)」の時代ともいわれるが、
「学生も先が見通しづらい状況で就活を続けており、企業へ安定性を求めるとともに、自身も成長してスキルを身に付けておきたいという意欲が見受けられます。社会人としての価値を高められる『自己成長』に対するバックアップの有無もまた、就活の重要な軸の一つになっているのです」(同)
最近は専門性の高い職種別の採用コースを導入している企業も多く見られ、
「いわゆる“配属ガチャ”によるミスマッチを避けたいという思いから、そうした選択肢への人気もあります。現に弊社の調査では“配属先を自分で決めたい”という学生が半数以上でした」(同)
企業によってアレンジを
このような就活生を、企業はどう受け止めるのかといえば、
「採用の際に重視するポイントを企業に聞くと、『学生の人柄と熱意』とともに、『汎用的な能力』『カルチャーフィット』を挙げます。最近重視されている汎用的な能力とは“数字を見る力”や論理的思考力のこと。プログラミングが得意といったことではなく、どんな業務であっても論理的に分析して判断するスキルが求められるということです」(同)
“カルチャーフィット”は、企業風土との相性を指す。
「例えば同じエピソードのガクチカも、それぞれの社風によって受け止め方が異なります。面接では、どの部分が共感してもらえそうなのかを考え、強調したい部分を変えて話すなどアレンジしてもいいと思います」(同)
マニュアルや定石にとらわれず、自分だけの「オリジナル就活」を心掛けることが肝要というわけだ。
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