「就活」の突破術とは? 人気企業人事が明かす「面接で本当に知りたいこと」 「ガクチカ」のアピール方法

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資格取得の動機が肝心

 就活では種々の資格取得も有利とされているのだが、

「取得に向けて努力した結果ですから、ないよりはあったほうがよいでしょう。ただし絶対に必要な資格というものはありません。最近の学生さんはTOEICの点数も高く、留学にも行かれるなど就職までの努力を懸命にしていると感じますが、ともすれば学生さん側が考える『社会人の条件』を、ただそろえようとしているだけなのではと映ってしまいます」(同)

 言うまでもなく“取って終わり”ではないのだ。

「われわれは入社してからご活躍いただきたいと思って面接をしているので、資格取得の動機については『周囲が受けていた』『親に勧められて』ではなく、社会人になって具体的にどうしたいのか、その意思を尋ねるようにしています」(同)

「周囲から一緒に頑張りたいと思ってもらえる人材」

 資源価格の高騰に円安も相まって業績好調の商社にも聞いてみた。伊藤忠商事人事・総務部長の垣見俊之執行役員は、

「当社は直接工場や技術を持つメーカーと違い、人が最大の資産であり、その人によってビジネスを創り上げ展開しています」

 としながら、

「学生時代に取り組んだことからは、どのような苦労をしてどう乗り越えてきたか、周囲の巻き込み方や成果(失敗しても)の中に個性や価値観が垣間見えます」

 そこから入社後の活躍が期待できるかが、一つの判断要素となるというのだ。一方、先ごろ国内企業としては初めて四半期ベースで営業利益が1兆円を超えたトヨタ自動車は、

「『周囲から一緒に頑張りたいと思ってもらえるような人間力を有した人材』と一緒に成長していきたいと考えています。相手のために頑張れること、謙虚であること、さらに自らのエネルギーを生かして挑戦できること、そうした人間力を持った人材を求めています」

 とのことである。

卒論で「危機管理」を

 新型コロナ禍による経営不振で倒産した、あるいは震災や水害で致命的な打撃を受けた企業は数知れず。また中国やロシアへ進出して多額の取引をしていた企業が、突然の事業停止に追い込まれたケースもある。

 企業における危機管理の重要性が叫ばれて久しいが、今後はいっそう大きな比重を占めるに違いない。リスクへの向き合い方や情報開示の段取りを少しでも誤れば、会社の命運が一瞬にして尽きかねないのだ。

「弊社が顧問についている企業の方々は、『危機管理の勉強をしてきたような意識の高い学生が欲しい』と、口をそろえて言われます」

 そう明かすのはリスク・ヘッジ代表取締役で、岐阜女子大や警察大学校で危機管理を講じた経験もある田中優介氏だ。とはいえ、

「国内で危機管理専攻の学部を設置しているのは、日大と、加計学園系列の千葉科学大学と倉敷芸術科学大学のみです。学科を加えても関西大学と神戸学院大学、常葉大学くらいですから、この分野を大学で修めてきた学生を探すのは、現実的には難しいと思います」

 その上で、大学・学生へ、こう提言する。

「学部や学科を新設するのは簡単ではないと思いますが、商学部や経営学部で危機管理について論理的な講義を行う必要性やメリットは大きいでしょう。卒論で企業の危機管理をテーマにするのも一案かと思います」

 就活の最終関門である人事部長や経営トップは、おしなべて危機管理に強い関心を持っている。レピュテーションリスクの高い食品会社や化粧品会社となればなおさらで、面接でそんな研究内容を披露すれば話が弾み、強い印象を残すこと請け合いだというのだ。

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