「就活」の突破術とは? 人気企業人事が明かす「面接で本当に知りたいこと」 「ガクチカ」のアピール方法

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 2025年卒の就職活動は、すでに始まっている。あなたの子や孫は学生時代をどう過ごし、どんな企業を目指そうとしているのか。就職人気ランキングでは分からない、人生の岐路ともいえる就活の要諦について、人事担当者や危機管理の専門家がアドバイスを贈る。

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 今月2日、多くの企業では来年度新入社員の内定式が執り行われていた。が、ビッグモーターの内定者にとっては一転、憂鬱(ゆううつ)な季節となったことだろう。目下、金融庁や警視庁、そして公正取引委員会からも嫌疑をかけられ、いかなる裁きが下されるのか固唾(かたず)をのんで待つほかない身の会社である。加えて客離れも著しく、一説には9割減との内部情報も漏れ伝わってくる。「このまま就職して大丈夫なのだろうか?」──。そんな不安に駆られない内定者はいないはずだ。

 ところがそのビッグモーター、実はマイナビ・日経の「2024年卒大学生就職企業人気ランキング」によれば、何と文系総合で堂々97位にランクインする“人気企業”だったのである。ちなみに同社との癒着でやはり金融庁から標的にされている損害保険ジャパンは、さらに上位の24位にランクインしている。

首をかしげたくなるような企業も

 これに限らず、人気ランキングを眺めると「大学生は何を基準に選んでいるのか?」と首をかしげたくなるような企業も多く含まれている。新型コロナのまん延によって潜在的なリスクをさらしてしまった観光業界や飲食業界、エンタメ業界などをはじめ、気候変動や巨大地震といった自然災害のリスクを抱える農林水産業界や土木・不動産業界の企業も名を連ねているのだ。

 もっとも、業界全体のリスクと個別企業の将来性とはまったく別物であり、ライバル社が減って“太る”場合もあれば、新たな仕組みや商品を提供して繁栄するケースも少なくない。

 一体、就活生はどんな視点や指標をもとに就職先を選べばよいのだろうか。

「就活自体を楽しんでほしい」

 リクルート勤務を経て危機管理のコンサルタント会社を設立した、株式会社リスク・ヘッジ取締役の田中辰巳氏が言う。

「今も昔も大学生は、テレビCMなどで知名度のある会社を志向する傾向が強いと思います。ですが、それが正しい選択とは思いません。私が就職活動をしていた昭和後期の人気企業が、いまも繁栄しているとは必ずしもいえないからです」

 実際に“選ばれる側”の人気企業に尋ねたところ、

「最終面接に臨まれる学生さんには、必ず就職活動の『振り返り』をしていただいております」

 とは、三菱UFJ銀行人事部採用・キャリアグループの柿沼亮太次長である。

「最近は就活も長期化しており、1年くらいなさっている方も見受けられます。その期間にご自身がどのように視野を広げて新しい世界を見つけたか、辛いこともある中で楽しめたかどうか、このあたりはぜひお聞きしたいところです」

 というのも、

「『大学3年生の夏のインターンシップで金融に興味を持ったので就活は金融一筋です』という学生さんもいますが、それが絶対によいというわけではありません。銀行員というのは各業種の経営者の方の熱い思いを受け止め、その実現のお手伝いをするような仕事です。就活でも内定という結果を求めるだけでなく、せっかく多様な業界の事情を各社が積極的に話す機会を作っているので、多くの会社を回って社員から話を聞き、就活自体を楽しんで成長していただくことがなにより大切だと思うのです」(同)

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