髙田延彦も酷評…福山雅治、安田顕も出演の映画「アントニオ猪木をさがして」が、熱狂的な猪木ファンから拒絶される理由

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108分で猪木の生涯を描けるのか

 例えば、映画情報サイト「映画.com」には70件ほどレビューが寄せられ、採点は5点満点中で2.7(25日現在)。

《猪木探したら迷子にされた》

《観る価値なし》

《あんまりよくなかった》

《エンドロールが最大の見せ場》

 などなど、髙田と同じような感想が並ぶ。

「一緒に鑑賞した、同年代のファンは涙を流すほど感動していました。ですが、映画の製作を手掛けたのは芸能事務所アミューズで、新日本選手のマネジメント権を持っています。プロレスを真に分かっていない人が持つ利権のにおいがして、とても感動できる作品ではありませんでした。時間もわずか108分と短く、それで猪木さんの生涯を振り返ろうというのが難しいと思いますね」(40代の元プロレス担当記者)

 アミューズ所属タレントでこの映画に関わっているのは、いずれも猪木さんの大ファンという、歌手で俳優の福山雅治(54)と安田顕(49)。福山はナレーションと主題歌「炎のファイター~Carry on the fighting sprit~」を担当し、安田は関係者へのインタビュアーを務め、劇中のドラマパートに出演している。

「猪木さんがプロレスに入るまでを過ごしたブラジルでの現地取材、そしてドラマパートなど、工夫を凝らしているのは分かるのですが、このパートは不要だったのではないかと思う部分もありました。もしかすると、この映画は猪木さんを知らない、あるいはファンではない層にも、猪木さんの偉大さを知ってもらうために作ったのかもしれません。でも、ファンはもっと、猪木さんそのものを見たかったはずです」(同)

 劇中では猪木さんの愛弟子である藤波辰爾(69)、藤原喜明(74)、新日の現役レスラーであるオカダ・カズチカ(35)、棚橋弘至(46)、海野翔太(26)らのインタビューも収録しているが、人選ミスを指摘する声もあがっている。

「オカダ、海野は新日本のレスラーとはいえ、猪木さんとほとんど直接の接点がありません。それこそ、アミューズのゴリ推しでしょう。この映画に出すべき最適な人選としては、数々の話題を作った“過激な仕掛け人”として猪木さんのブレーンだった新間寿氏 、猪木さんに反旗を翻した“宿敵”の長州力は外せないでしょう。そして実況で大いに盛り上げたフリーアナウンサーの古舘伊知郎も。さらにはタイガー・ジェット・シンやハルク・ホーガンなど猪木さんと激闘を繰り広げた外国人レスラーら、プロレスファンが話を聞きたい人が登場していません」(プロレス業界関係者)

 特に、かなりの時間を割いて扱われたのが、18年に亡くなったマサ斎藤さんとの無観客マッチ「巌流島の戦い」。そして2002年2月1日、新日本プロレス札幌大会で行われた、ファンの間では今なお語り草となっている、伝説の「猪木問答」だった。

「巌流島は関係者の証言がなく、講談師・神田伯山の語りがメインでした。そして『猪木問答』は引退後のことで、ファンや関係者にとっては失笑もののやりとりです。それなのに、なぜかメインに持って来ている。この試合を出すくらいなら、伝説のモハメッド・アリ戦(76年)、東京ドームでの、ビッグバン・ベイダー戦(96年)、そして猪木さんの引退試合(98年)など、他にいくらでもあるはずです。政治家としての猪木さんのリング外の活動などにも時間を割いた割には、女性問題や金銭問題などには触れずじまい。それなら、レスラーとしての猪木さんに絞れば良かったのではないでしょうか」(同)

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