今さら敷地内に400億円「新体育館」を建設しても…日ハムに捨てられた「札幌ドーム」の苦境

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新モードの効果はいかに?

 建設予定の新体育館は、Bリーグ・レバンガ北海道の本拠地にするという話もあるが、実現するかどうかは分からない。とにかく今は、年間約70日もあったプロ野球興行を失うことによる稼働率の低下にも歯止めを掛けなければならない。日本ハムが去った今年度の札幌ドームは3億円の赤字が予想されているが、市民の間には、実際は、それを上回るかもしれないという声もある。だが、指定管理者である株式会社札幌ドームの見解は少し異なるようだ。同社の山川広行 社長は、地元テレビ局の情報番組に出演し、こう答えていた。

「ファイターズがいなくなって、いちばん痛いのは広告収入。粗利益として丸々入ってきたから。広告収入をカバーするため、ネーミングライツが必要。億単位で(お金が)入ってくる」

 市民の多くは集客率、稼働率を上げて収支減を盛り返していくべきと考えているが、ネーミングライツで大金を鷲づかみにしたいと言うわけだ。集客イベントを増やすため、札幌ドームはアリーナを暗幕カーテンで半分に仕切る“新モード”を導入した。面積を半分にすれば、イベントを開きたいと思うニーズが上がるだろうという判断のようだ。

「新モードが稼働したのは、ラグビーW杯のパブリックビュー・イベントが行われた9月10日のみでした。札幌市内には円山球場があるので、野球興行の積極的な営業はできません。新モードにしても、同じく市内にあるイベント施設『北海きたえーる』と同じ規模ですからね。いつも使われるとは限りません」(前出・地元メディア関係者)

 札幌ドームの広報担当者に聞くと、

「新モードでの新たなイベント実施については、11月に吹奏楽のイベントが決まっています。他にもこれまでに数件のご相談を頂いており、決まり次第、ホームページなどで発表していきます」

 パブリックビューイングの実施が、ある程度の効果をもたらしたようだが、札幌市の行政評価委員会でも、札幌ドームの今後が議論されていた。いわゆる箱物を持ち続けるのなら、その意義を明確にすべきだと。

 先に山川社長が地元テレビ局に出演したことについて触れたが、この時のインタビュアは北海道出身でタレントの杉村太蔵氏。同氏は「思い切って、民間企業への売却も考えたほうが?」という意見をぶつけていたが、「いっそのこと壊しちゃえばいいのに」と思っている市民さえいる。

 だが、多くの市民はドームとその周辺の賑わいを取り戻してほしいと願っている。五輪の招致を断念した今、通年型アイスリンクと多目的アリーナの総工費約400億円が、新たな火ダネにならなければいいが。

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