クーアンドリクの動物虐待疑惑に業界内から“反旗” 「過去32人を出向」”蜜月関係”だったペット保険会社が調査を開始

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“非常識が常識化していた”

 野田氏は神妙な面持ちで、まずこう語った。

「新潮社さんの報道を読んで痛感したのは“非常識が常識化していた”ということです。今年6月、損保業界では、大手4社が大手私鉄グループ企業との共同保険取引でカルテルを締結していた不祥事が発覚しました。我々ペット保険の業界でも、同じことが起きていたのではないかと考えました。クーリクの顧客の約7割が弊社の保険に加入していますので、クレームは我が社へ向けられたものでもあります。これを機会に自分たちも反省すべき点は反省しなければならないと身を引き締めているところです」

 クーリクとの付き合いが始まったのは03年からで、出向者がいたこと、販促活動での協力、広告費の供与は事実だと認めた。

「出向者は過去32名おりました。期間は09年、さらに13~17年までの4年間です。時期が飛んでいるのは、メインの代理店がアイペットさんになっていた時期もあったからです。出向は先方からの要望で、弊社社員は主に店舗でスタッフに保険セールスの教育をしておりました。いずれも一人2カ月くらいの期間で、09年には店長代理をつとめた社員も1名おりました」(同)

なぜ問題に気づけなかった?

 それだけ近い関係にあったなら、クーリクの問題に気づけたはずではないかと問うと、野田氏は苦渋の表情を浮かべて答えた。

「確かにおっしゃる通りなのかもしれません。ただ、正直に申すと、昔のクーリクの店舗は今よりもずっと汚かった。この十数年で店舗改装を繰り返してきたことで、店舗環境はよくなっている印象だったのです。店舗に社員を派遣したのも15年が最後で、営業マンが店舗に行ってもバックヤードまで見る機会はないですし。繁殖場の実態などは初めて知った次第で……」

 約2年前からクーリクが新規店舗の代理店契約をアイペットに乗り換えているのは事実かと問うと、

「取材された内容が正しいのではないかと思います」

 と認めたのだった。

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