動物保護ハウスを経営する坂上忍が「ペットショップの犬・猫大量生産」に思うこと 「世界から見ても恥なのに変わらない現実」とどう立ち向かうべきか

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犬・猫には投票券がないから変わらない

 そして、この現状を「国際社会と比較しても恥ずかしいこと」と言い切る。昨年末、フランスをロケで訪れた時、世界の変化を肌で感じた。フランスは2024年から生体販売が禁止されることが決まっている。

「ペットショップがどんどん閉じているので転職する人も多い。継続していく店もあるのですが、動物がいない、リードとかグッズを販売する店に衣替えしていました。いまあるものをなくすって本当に勇気がいることがだと思います。でも、それが恥ずかしいことならば、なくしなさいと誰かが勇気を出して提言して、実行していけばいいだけのこと」

 フランスばかりでなく、アメリカやカナダでも州によって生体販売禁止に舵を切る地域が増えてきた。日本では逆にペットショップが増え続けている。

「何十年も前から問題を指摘され続けてきたのに変わらない。歌舞伎町で深夜まで煌々と灯りのついたペットショップを見て、外国人はみんなびっくりしていたでしょう。なんだかんだいって、日本は世間体を気にするわりには、海外の目を気にする意識が極めて低い。先進国の中で今もこんなにも堂々と命の売買がまかり通っている国は日本くらいです」

 そして、「残念ですけど、日本でペットショップがゼロになることはないでしょうね」と諦念を込めて語る。

「クーリクさんに限らず、今のペットショップは結局、『合法』なんですよ。僕がフジテレビでやらせてもらっている『坂上どうぶつ王国』でも、保護活動にフィーチャーしてやってきましたけど、ペットショップの営業拡大に歯止めがかからなかった。結局、法律を変えないと始まらない、つまり政治の問題なんです。ただ、ほとんどの政治家はマニュフェストに動物愛護と入れてはいるけれども、プライオリティは一番低い。結局、犬・猫に投票権がないから彼らも本気で変えようとしない」

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