動物保護ハウスを経営する坂上忍が「ペットショップの犬・猫大量生産」に思うこと 「世界から見ても恥なのに変わらない現実」とどう立ち向かうべきか
蛇口が開きっぱなし
例えば、お台場などで期間限定カフェを開催したり、オンラインショップでグッズを販売して収益を稼ぎ出す。だが、地道な努力を続けていても一向に変わらない現実がある。
「蛇口がこうも全開で開きっぱなしではね」
ペットショップの大量生産・大量販売である。
「うちに来ている犬の中にも、ペットショップ出身の子が何頭もいます。買って2週間で『こんなに吠えると思いませんでした』と捨てられた後で保護された子とか。ペットショップやブリーダーが乱繁殖を繰り返していて、そこに需要がある限り、いくら保護団体が愛護センターから引き取って里親に譲渡しても、保護犬・猫は減りません」
8月からデイリー新潮が報じてきた最大手「クーアンドリク」の諸問題についても以前から関心を持っていたと語る。
「3万円とか5万円で犬猫を安売りしていると聞いていたので、どんなカラクリで儲けが出るんだろうと疑問に思っていました。私たちがやっている譲渡事業でも、引き渡すまでの世話代やワクチン代など最低3万円くらいは『実費』としていただきますので。記事を読んで、『ペット保険代理店』としての手数料収入と『定期フード契約』が主な利益となっているんだと初めて知りました」
クーリクが販売している、5年間、量やメーカーを変えられない定期フード契約については、「あり得ないと思います」と批判する。
「人間と同じで、犬・猫にもアレルギーがありますから。最初はチキンが大丈夫でも途中でダメになってラムに変えてみようとか、下痢気味になってきたら、カリカリのドライフードだけにした方がいいとか、食は生きていく中で度々変えていくもの。縛りをつけて売るものではありません」
クーリクだけでなく、一部のペットショップが売れ残った犬・猫を保護犬・保護猫の譲渡と偽って、二次販売している現状にも、
「自分たちで乱繁殖しておいて捌けなくなったら、私たちの側の“仮面”を被り、『かわいそうな子たちだからお願いします』って。よくそんな悪知恵思いつくなって思いますよ。一緒くたにされてしまうので本当に困っています」
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