有名人の「公開夫婦ゲンカ」は金になる!? 東海オンエア、才賀元夫妻らに見る「弱者」という武器

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 ひと昔前まで、「鬼嫁」はひとつのコンテンツだった。峰竜太さんや野々村真さんといったお昼のワイドショータレントや、宮迫博之さんらお笑い芸人が、トークで笑いをとるためのスパイスに使ったのが始まりではなかっただろうか。実力も人気もある夫を、怒鳴ってしゅんとさせる妻は、瞬く間にお茶の間の人気者となった。北斗晶さん(佐々木健介夫人)を筆頭に、野々村友紀子さん(漫才コンビ2丁拳銃・川谷修士夫人)など今でも活躍している女性も多い。

 しかし今や、「こんな鬼夫にひどい目に遭わされた」と告発する妻のほうがはやりなのだろうか。才賀紀左衛門さんの元事実婚パートナーである絵莉さんによる、子どもの面前でのDV被害証言や、人気YouTuberグループ「東海オンエア」のしばゆーさんの妻・あやなんさんによる離婚宣言は世間の耳目を集めている。

 あやなんさんは以前から炎上女王ではあったが、「多額の慰謝料請求して絶対に離婚してやる」と夫に不満をぶちまけただけでなく、「東海オンエア」リーダーであるてつやさんにも飛び火したことで泥仕合に。リベンジポルノまがいの動画まで投稿され、所属事務所が謝罪する事態を招いた。

 もともと絵莉さんやあやなんさんは、「才賀家の映えない日常」や「しばなんチャンネル」といった、夫婦共同のコンテンツ発信で稼いできた人たちだ。けれどもひとたびトラブルが起きれば、夫の悪行も飯の種にするということなのだろう。

 有名人で人気者の彼の素顔はこんなにひどいんです、と言いたげな暴露は、被害者意識と承認欲求に満ちている。子どももいる大人同士のもめごとに、世間を巻き込むことにためらいはない。むしろ子どもを盾に取って、メディアや世間から夫たちがつるし上げられるように誘導するようなしたたかささえうかがえる。

 一般人よりは稼ぐとはいえ芸能人というわけでもない、ブロガーやYouTuberといった「セミプロ」妻たち。私的制裁と稼ぎを両立する「公開夫婦ゲンカ」ビジネスは、彼女たちの、そして彼女たちと似た職業の人々に、新しい金脈としてインプットされてしまったのではないだろうか。

 芸も能も売るものが無いなら、身内を売る。まるでマルチ商法まがいのやり口に思えてしまう。

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