明日日本シリーズ開幕 岡田阪神、38年ぶりアレに必要な“アレ”とは?【柴田勲のセブンアイズ】

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よそ行きの野球をしてはダメ

 日本シリーズの相手はリーグ3連覇のオリックスになった。ロッテもよく頑張ったが、オリックスはペナントレースでそのロッテに15.5ゲーム差をつけている。実力通りの結果でそうそう下克上は起こらない。

 先発投手陣はオリックスが上で、中継ぎ陣となると阪神に軍配が上がるのではないか。打撃は互角だろう。

 これまたともに似たチームだと思う。阪神が日本一になるためにはペナントレース、そしてCS最終ステージで見せた阪神らしい普段の戦いをすることだろう。

 チャンスをつかんだらリードを奪い、12球団トップの防御率を誇る強力投手陣で逃げ切る。9年ぶりの日本シリーズ出場だが、よそ行きの野球をすることはないし、してはダメだ。岡田監督は今回の3試合連続逆転勝利で自信を深めていると思うが。

59年ぶり2度目の「関西シリーズ」

 キーマンは最終ステージの前にも記したが近本光司だと思う。最終ステージでは11打数1安打だったが、彼が出塁すると2番・中野拓夢との連携でさまざまな策を仕掛けることができる。さらにもう一人挙げれば佐藤輝明だ。3連戦、12打数2安打に終わったが打てばチームの雰囲気は変わる。

 新井貴浩監督率いる広島はよくやったと思う。昨季から戦力の大幅な上積みはなかったが、既存戦力を立て直し、またうまく起用した。

 一時は首位にも立ったが、故障者が続出したこともあって失速した。でも監督就任1年目で昨年の5位から5年ぶりのAクラス(2位)に導いた。

 巨人は今季、阪神に6勝18敗1分、広島には8勝17敗、散々やられた。2年連続Bクラスの大きな原因となった。

 来季、巻き返しのためにはこの両チームを倒す必要がある。大変だが来季への挑戦は始まっている。頑張ってほしい。

 28日からの日本シリーズは関西をホーム同士とした64年の阪神対南海(注)以来、59年ぶりの「関西シリーズ」となった。2度目だ。

 関西ではすでに大盛り上がりだそうだ。私にとっては巨人が出場しない日本シリーズはやっぱり寂しい。でも野球界にはいいことだと思う。熱戦を期待している。(成績は22日現在)

(注)阪神は藤本定義監督、南海(現ソフトバンク)は鶴岡一人監督、結果は南海が阪神を4勝3敗で下して、59年以来2度目の日本一を達成した。南海のジョー・スタンカ投手が3完封で3勝を挙げてMVPを獲得した。南海の主力、野村克也はこの年41本塁打、115打点で二冠王となっている。翌65年には戦後初の三冠王に輝いた。

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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