谷村新司さんと財津一郎さんの奇縁 いま改めて注目される映画「連合艦隊」と主題歌「群青」

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谷村さんの歌詞に感動した森繁さん

「監督を務めた松林宗恵氏は僧侶の資格を持つ異色の経歴で、海軍少尉として従軍経験もあります。1955年の『人間魚雷回天』では、自身の従軍経験と無常観に基づく出撃シーンが高い評価を受けました。『連合艦隊』では、海軍時代の部下だった中鉢さんという兵隊の思い出を盛り込んでいます。戦争ものの他には、森繁さん主演の喜劇『社長シリーズ』を23作、監督しています。その縁でしょう、森繫さんとは個人的にも親しくしていたそうです」(映画関係者)

 当時の森繁氏のスタッフに聞くと、

「松林監督が森繁先生とよくお話になっていたのは、この映画の主題歌は何としても谷村さんに歌って欲しいと思っていたのですが、最初、谷村さんはお断りされたそうです。あまりに荷が重いとお感じになったのでしょうか。でも、松林監督が何度もお願いして、それで『群青』を書き上げてくださったんだそうです」

「群青」の編曲は服部克久氏(谷村さんとは「昴」でもコンビを組んでいる)。静かなピアノのイントロはやがて激しく、そしてまた静かに。寄せては返す波が打ちつける海のようである。そして、詩の内容に合わせて展開されていくドラマティックな曲調は、本当に素晴らしい。

 映画のラスト、海辺で陽子と共に忘れ形見と思しき子供を見守る直樹。大切な息子二人を戦争によって失った親の悲しみが伝わってくる。そこにかぶさる「群青」の2番の歌詞の一節はたまらない。

「我より先に逝く 不幸は許せど 残りて哀しみを 抱く身の辛さよ」

 森繁氏は「群青」の歌詞を気に入り、「いい歌だ。本当にいい歌だ」と何度も語っていたという。

「歌詞がぴったりと重なっています。思わず涙が出てきてしまう、素晴らしいシーンになりました。森繁先生も、よくこのシーンの話をしていましたよ。松林監督とはずいぶんとご一緒しましたけど、『連合艦隊』と主題歌の『群青』は忘れることのない作品のひとつでした」(前出のスタッフ)

 谷村さんのソロ曲というと、中国でも愛唱されている「昴」が有名だが、「群青」を推すファンもかなりいる。今も胸を打つ歌詞とともに、大和撃沈のラストで見せる財津さんの姿も思い出されるのだろう。ネットやSNSでは「連合艦隊」を通じて、谷村さんの熱唱と、財津さんの熱演を絶賛する声が溢れている。

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