海外からも絶賛された「VIVANT」 続編制作は白紙状態、立ちはだかる難題とは何か

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 今年最大のヒットドラマ「日曜劇場 VIVANT」(TBS)の続編が、9月17日付の本稿(https://www.dailyshincho.jp/article/2023/09171105/)の通り、白紙であることが分かった。福澤克雄監督(59)が、このほど系列局のBSS山陰放送(本社・米子市)のインタビューで明かした。一方で欧米の番組バイヤーたちはこのドラマを絶賛。海外で放送されることになりそうだ。

先のインタビューで「続編は白紙」と明かす

 福澤克雄監督は「VIVANT」の最終回が放送された9月17日、ファンミーティングに出席し、「3部作くらいまで考えている」と語っていた。一方で「次回作は皆さん次第」とも話し、ストーリーは考えてあるものの、制作は決まっていないことを臭わせていた。

 このほど行われたBSS山陰放送のインタビューでは、より踏み込み、続編が白紙であることを明かした。

「皆さんがTBSにやれーって言ってくれるとやれると思いますけど」(福澤監督)

 そもそも局の心臓部である編成局からのゴーサインは出ていなかった。主要キャストが所属する芸能事務所にも「またつくる」といった連絡は入っていない。福澤監督が続編を制作すると明言したこともなかった。

 視聴率面では完勝だった。全10回の平均値は個人全体視聴率が9.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。個人全体視聴率は6%超えでヒット、8%超えで大ヒットとされているから、申し分なかった。ほかの夏ドラマの約3倍から5倍以上の数字を獲った。

 民放とスポンサーが最も重視するコア視聴率(13~49歳の個人視聴率)も高く、最終回では大台超えの10.1%を記録。9月第2週(同11~17日)の全番組の中で断トツのトップだった。T層(13~19歳の個人視聴率)とF1層(20~34歳の同)の数字も突出。ドラマ離れが著しい若者も飛びついたドラマだった。

 視聴実態を正確に表せないため、3年半前からテレビ界もスポンサーも使わなくなった世帯視聴率の全話平均値は14.2%。最終回は19.6%とやはり高かった。

現場はやりたいが…「一番大きいのは制作費の問題」

 これほど高視聴率だったのに、続編の制作が動き出さないのはどうしてなのだろう。

「一番大きいのは制作費の問題。ドラマの現場はやりたい」(コンテンツ制作局ドラマ制作部スタッフ)

 続編をつくるための資金の目途が立たないのだ。それどころか、今回の「VIVANT」も「予算オーバーだった」(ドラマ制作部スタッフ)という。福澤監督もファンミーティングで「ちょっとお金を使いすぎて」と内情を明かしていた。

 TBSに金がないわけではない。しかし、ドラマは例外なく決められた予算内でつくることが求められている。また、通常以上の制作費が必要なドラマの場合、まず資金調達の見通しを立てなくてはならない。

 プライム帯(午後7~同11時)の1時間ドラマの制作費は1話当たり平均3000万円。ただし、「日曜劇場」は例外で、視聴率が安定し、優良スポンサーが揃っていることから、同4000万円とされている。

「VIVANT」はさらに特別だった。TBS系列の有料配信サービス「U-NEXT」の協力が得られたことなどから、1話当たり約1億円が用意された。だが、それでも足りなかったのだ。

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