「失業率は70%」「子どもの20~25%は治療が必要なレベル」 ガザの苦難の実態とは
5歳以下の4割が栄養失調からくる貧血
「それ以来ガザは、陸海空から閉ざされた、自由のない地区となりました」
とは前出の大澤氏である。
「壁に囲われ、そこから内側600メートル~1キロはバッファーゾーンとなり、足を踏み入れるといつイスラエル兵に撃たれるかわからない。地中海にも面していますが、常に監視船に見張られていて10キロ程度しか沖に出ることができません。空には一日中ドローンの音が鳴り響き、監視カメラ付きの気球も浮かんでいます」
移動の自由がなく、外に出るには検問所でイスラエルの許可が必要。テロリストと疑われるのか、40歳以下の男性にはほとんどその許可も下りず、時には病人の搬送も認められないため、治療を受けられず亡くなる患者も少なくないという。
「物資の出入りもイスラエルがコントロールしている。食料はありますが、貧困で、国際支援で食いつないでいる家庭も。栄養失調が多く、子どもの20~25%は治療が必要なレベルです。ガザ全体で5歳以下に限れば、4割が栄養失調からくる貧血であるといわれています」
失業率70%
こうした状況から、ガザは「天井のない監獄」と言われている。
「電気供給も不安定です」
と言葉を継ぐのは、前出の手島氏だ。
「ガザは火力発電が主ですが、それだけでは足りず、イスラエルやエジプトから送電してもらわなければならない。一番ひどい時では、1日の通電時間が3~4時間のことも。また、水の問題も深刻です。海に近く、海水が混ざるため、地下水は飲み水としては使いづらく、購入するしかありません。下水設備もまだ整っていない。国連が人間が生活できる状況か?とのレポートを出したほどです」
何より特筆すべきは失業率の高さで、18歳~40代前半に限れば実に70%以上。日雇いで生計を立てている人がほとんどというのだ。
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