豊作の秋ドラマ5選 「コタツがない家」ダメ男3人の前で見せる小池栄子の“得意技”に注目
フジテレビ「うちの弁護士は手がかかる」(金曜午後9時)
弁護士事務所を舞台にしたコミカルなリーガルドラマだが、洗練されている。ウィットに富んだジョークがちりばめられ、映像も美しい。
主人公はムロツヨシ(47)が演じる蔵前勉。売れっ子女優・笠原梨乃(吉瀬美智子・48)のマネージャーを30年務めたが、いきなり解雇されてしまった。
蔵前は途方に暮れるが、そんな時に駅のホームで「香澄法律事務所」の書類袋を拾ったので、事務所に届ける。書類袋は新人弁護士・天野杏(平手友梨奈・22)のものだった。
書類袋を受け取った天野は蔵前に礼の1つも言わず、遺失物拾得者の権利を放棄する念書を不躾に書かせようとする。天野は頭がいいが、社会性はゼロなのだ。おまけにビックリするほど自分勝手で気が強い。そこで事務所の所長・香澄今日子(戸田恵子・66)は蔵前を天野のパラリーガルとして雇い、マネージメントもやってもらうことにする。
1話では2人はテレビ局のフリーのアシスタントプロデューサーに対するパワハラ問題に斬り込んだ。常識もない天野は撮影現場に無許可で乗り込み、やはりパワハラの被害を受けている人間を探した。常に荒っぽいのだ。
リーガルドラマは無数にあったが、この作品は斬新。メチャクチャな天野と人情家の蔵前の組み合わせがいい。
ベテランのムロがうまいのは当然だが、平手がハマっている。勝ち気な役柄は合う。
TBS「日曜劇場 下剋上球児」(日曜午後9時)
無名で弱小の三重県立越山高野球部が甲子園を目指す物語である。主人公は同高の監督で社会科の地理と歴史を担当する教師・南雲脩司。鈴木亮平(40)が演じている。
南雲はかつて野球エリートだったが、一方で野球には苦い思い出もある。高校時代は勝利至上主義の賀門英助監督(松平健・69)の指導を受けたため、正々堂々の勝負を望むファンに詰められた。大学ではアキレス腱を切ってしまったことから、退部と退学を余儀なくされてしまう。
大学に再入学し、36歳で高校教師になったものの、野球からは逃げていた。だが、周囲から強く推されて、3カ月限定という条件で監督になる。それ以上続けて、目立つわけにはいかないのだ。南雲は大学で単位が取れず、卒業できなかった。卒業証明書などを偽造し、教師になった。
ドラマ界屈指のヒットメーカーである新井順子プロデュサーと塚原あゆ子監督の作品なので、単なる野球ドラマになるはずがない。作品は越山高野球部の成長と南雲の再生が同時進行で描かれる。
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