豊作の秋ドラマ5選 「コタツがない家」ダメ男3人の前で見せる小池栄子の“得意技”に注目

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テレビ朝日「ゆりあ先生の赤い糸」(木曜午後9時)

 序盤は衝撃的な展開が続く。このため、キワモノ作品と誤解する向きもありそうだが、家族関係の真実や人間の本能を浮き彫りにしようとする骨太の作品。原作は「第27回手塚治虫文化賞 マンガ大賞」(今年4月)に輝いた名作漫画(入江喜和・講談社)である。

 主人公は菅野美穂(46)が演じる伊沢ゆりあ。自宅で刺繍教室を開いている。亡父・長田勝利(長田庄平・43)の影響で「格好良く生きる」ことに拘っているものの、平凡な女性である。

 夫は伊沢吾良(田中哲司・57)。売れない小説家だ。それでも心優しい人なので、ゆりあは幸せに暮らしていた。

 ところが吾良がくも膜下出血で倒れ、意識不明となったことから、ゆりあの生活は一変する。吾良が倒れたのはホテルの一室。一緒にいたのはゆりあの知らぬ青年、箭内稟久(鈴鹿央士・23)だった。

「夫とはお仕事の?」(ゆりあ)
「いえ……友達です」(箭内)
「こんな若い友達がいたんですかぁ……」(ゆりあ)

 ゆりあが疑問に思った通り、本当は友達ではなく愛人だった。ホテルで一緒にいたのも情事のためである。だが、ゆりあは取り乱したりしない。格好良く生きるのが信条なのだから。

妻と愛人が共同で介護を行う奇妙な日々

 ゆりあは吾良を自宅で療養させることにした。療養型病院や介護付き施設に入れるという選択肢もあったが、吾良の母親・伊沢節子(三田佳子・82)がケチなので金を使うことを渋り、吾良の妹・志生里(宮澤エマ・34)も病院や施設に入れっぱなしにすることを嫌がったからである。

 だが、高齢の節子は介護の戦力にならなかった。志生里も口先ばかりで、彼氏に振られると、自宅に引きこもってしまった。ゆりあは困った。1人で介護は無理。そこで、箭内に手伝わせるため、自宅に呼び出す。

「吾良を愛しているんでしょ? じゃあ来いよ!」(ゆりあ)

 かくして、妻のゆりあと愛人の箭内が共同で介護を行うという奇妙な日々が始まる。箭内は張り切っていた。

 もっとも、吾良はとんでもない男で、秘密はまだあった。彼をパパと呼ぶ、まに(白山乃愛・11)と妹・みのん(田村海夏・4)が現れたのである。吾良のもう1人の愛人・小山田みちる(松岡茉優・28)の娘らしい。ゆりあは格好良く生き続けることが出来るのだろうか。

 菅野がいつもながら名演。ゆりあの置かれた立場は極めて特殊で過酷だが、菅野が演じると身近な存在に感じられる。

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