パ・リーグ球団をクビになった選手は“宝の山”か 「炭谷銀仁朗」は争奪戦へ、「周東2世」と期待された“韋駄天”にも熱視線!?

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密かに注目を集める“足のスペシャリスト”

 そして、もう一人。“一芸選手”としてプロの世界で生き残れるか、密かに注目されているのが、22歳の舟越秀虎(前ソフトバンク)である。

 熊本の城北高を経て、2019年の育成ドラフト6位でソフトバンクに入団した。支配下登録はされず、4年間で二軍の通算成績は6試合に出場してわずかに1安打のみ。

 この数字だけをみると、自由契約になって当然といえるが、舟越はかなりの“韋駄天“だ。今シーズン三軍、四軍で出場した試合では、実に60個を超える盗塁をマークしている。対戦相手は独立リーグやアマチュアのチームではあるとはいえ、これだけの数の盗塁を決めるのは並大抵のことではなく、盗塁の成功率も高い。

 10月5日にソフトバンクから自由契約を通告された舟越は「ものすごく悔しかった。まだまだ若いし、全然走れるので。野球は続けます」と報道陣に語っており、11月15日に行われる「12球団合同トライアウト」に参加する意向も示している。

 前出の編成担当者が、舟越について以下のように分析している。

「分かりやすい“一芸”があるという点がいいですよね。単純に足が速くても、盗塁が上手くない選手がいますが、舟越のように、これだけ盗塁を決められて、失敗が少ない。ここは大きな魅力ですよ。(ソフトバンクは)打撃をこれ以上伸ばすのが難しいという判断なのだと思いますが、大学4年生と同じ年齢ですので、まだ成長の余地があるのではないでしょうか。(ソフトバンクで俊足の)周東佑京が大学からプロ入りした時と比べても、力は劣らないはずです」

 近年、足のスペシャリストとなり得る選手を指名している球団は少なくないのはご存じの通り。今年のドラフト候補では、外野手の有力候補が少ない状況も、現役続行を強く望む舟越にとって追い風になりそうだ。

 果たして、今回紹介した選手の中から来季もNPBでプレーを継続できる選手は現れるのか。今後の動向に、引き続き注目していきたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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