パ・リーグ球団をクビになった選手は“宝の山”か 「炭谷銀仁朗」は争奪戦へ、「周東2世」と期待された“韋駄天”にも熱視線!?
古巣に復帰か、それとも
“クビ”を宣告された男たちは、プロ野球で現役を続けられるのか。10月13日までの一次通告期間に100人の自由契約が発表された。ここには、現役引退を表明した選手や、来季の育成契約を打診された選手が含まれているが、他球団に移籍すれば、再び活躍できる選手も少なくない。前回のセ・リーグ編に続き、今回はパ・リーグの球団を自由契約となった選手にスポットを当ててみたい。【西尾典文/野球ライター】
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実績をみると、通算1326安打、332盗塁を誇る西川遥輝(前楽天)がナンバーワンだが、西川以上に注目を集めそうなのは、36歳の炭谷銀仁朗(前楽天)だ。
炭谷は、2018年オフにフリー・エージェントで巨人に移籍したものの、大城卓三の台頭で出場期待を奪われていった。その結果、捕手不足に悩む楽天が目をつけて、2021年のシーズン途中に金銭トレードで炭谷を獲得した。
昨年は96試合に出場して、60安打を放ったほか、リーグトップの守備率.998、リーグ3位の盗塁阻止率.339をマークしていた。今年は46試合で先発マスクをかぶるなど、楽天で貴重な戦力だったにもかかわらず、10月13日に自由契約を通告された。炭谷本人は「びっくりしています。とりあえず、今は現役を続けたいという気持ちがあります」と語るなど、現役続行を希望している。
捕手としての経験は豊富で、30代中盤でも目立った衰えは見られない。昨年オフに森友哉がFAでオリックスに移籍して、捕手が手薄になっている古巣西武への復帰が早くも噂されているが、捕手の選手層に不安を抱える球団は、西武以外にもあり、争奪戦に発展する可能性も十分にあるだろう。
わずか1年で自由契約に
一方、若手選手で注目されているのは、25歳の中川颯と20歳の西浜勇星(いずれも前・オリックス)である。中川は、130キロを超えるストレートが武器の本格派アンダースロー。一軍登板は、ルーキーイヤーだった2021年の1試合だけで、今年からは育成選手としてプレーしていた。二軍では、21試合に32回2/3を投げて防御率1.38、34奪三振と見事な成績を残している。
西浜は、BCリーグの群馬を経て、昨年の育成ドラフト1位で入団した。関東学園大付高時代は、高校入学時点からプロ入りまでの5年間で40キロ以上もストレートが速くなったことで話題になっていた。二軍でもわずか3試合の登板で、防御率9.00と結果を残すことはできなかった。だが、独立リーグでの成長を見ると、わずか1年で自由契約にするには、見切りが早いように感じる。
中川、西浜ともに投手陣が強力なオリックス以外であれば、まだチャンスは残されているのではないか。ただし、他球団の編成担当者に聞くと、気になる点もあるようだ。
「育成選手の場合は、3年で一度自由契約になるというルールがありますが、それよりも短い期間で、西浜のように戦力外になるケースは珍しいです。良いものを持っていても、何か素行に問題があるのではないかという懸念はどうしても出てきますね。獲得を検討するとなれば、当然、素行調査は行います。何も問題なければ、中川と西浜はまだ若いし、それぞれ特長があるので、面白いとは思いますね」
特に、西浜は、個人的な練習の様子を自身のSNSで発信しており、オリックスのエース、山本由伸に似たフォームも話題になっている。現役を続行できるか、注目される。
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