集団提訴に暗雲「ブッキングドットコム」巨額未払い問題の行方 契約書にあった“悪魔の一文”とオーナーが告白した「これは巨象とアリの戦いだ」の真意
「巨象とアリ」
この契約書の一文によって、仮にブッキングドットコムが本国以外で不法行為をしても、追及をかわす“盾”となる懸念も浮上している。あまりに不公平な契約形態とも取れるが、原告の一人で岐阜県などで旅館業を営む松尾政彦氏は、同社と自分たちの立場は「実際、巨象とアリのようなものだ」と言う。
「ブッキングドットコムの集客力が、他の旅行ECサイトに比べて圧倒的であるのは疑いありません。そのため海外からの訪日客をメインターゲットとする宿泊施設にとって、同社との契約を断つと、経営が成り立たなくなるところも少なくないと聞きます。私自身、今回の問題が無事に解決し、これまで通り同社との契約が継続できれば“それに越したことはない”と考えている部分がある。ただ一連のブッキングドットコムの不誠実な態度を見るにつけ、そういった私たち施設側の弱い立場や足元を見ている節も窺えるのです」
もう一つ、被害に遭ったオーナーたちを悩ませてきたのが日本法人の対応だという。
「18日に日本法人の社長らと初めて面会しましたが、何一つ明確な回答は得られず、中身のない話し合いに終始しました。結局、日本の法人には何の権限もないことが分かっただけで、責任ある立場の人間との交渉が実現するどころか、抗議するべき真の相手すら見えない状態が続いています」(松尾氏)
ブッキングドットコムの回答
ブッキングドットコム・ジャパン(日本法人)に今回の集団提訴に対する見解を訊くと、
「訴状が届いておらず、内容を確認していないので、コメントは差し控える」(同社広報)
と回答。肝心の未払いの理由については、
「(システム)メンテナンス終了後、日本および世界中のパートナーへのほとんどの支払いは完了していますが、少々複雑で予期せぬ技術的な問題により、支払いに遅れが生じているパートナーもいます。このような複雑な問題には、海外の銀行と日本の銀行間の送金後のエラーや、弊社が登録している口座の照合に時間がかかることなどがある」(同社広報)
として、送金に向けた対応を続けていると強調した。
インバウンド熱に冷や水を浴びせかねない、今回の大騒動。日本の司法の判断に注目が集まる。