0勝の中日・根尾昂投手がなぜ井端ジャパンのバックアップメンバーに選ばれたのか
中日の未来を握る男
「一昨年に野手から投手にコンバートされた根尾昂(23)が、侍ジャパンのバックアップメンバーに選ばれました。井端弘和代表監督(48)の強い要望もあってなんですが。11月16日に開幕するアジアプロ野球チャンピオンシップ2023に出場することになるでしょう」(NPB関係者)
根尾は今季2試合しか一軍戦には投げていない。二軍でも0勝7敗、防御率3・43という成績だ。
「井端代表監督は各球団の秋季練習などを訪問し、監督やフロント職員などにチャンピオンシップに選出したい選手名を伝えています。選手名は事前に連絡も入れておいたので、特に混乱はありませんでした」(同前)
井端代表監督が立浪監督のもとを訪ねたのは、奇しくも龍空が懲罰交代させられた試合が行われた10月11日。立浪監督は笑顔で出迎えたが、一塁側ベンチに座ってからは「取材NG」となった。中日からの選出予定メンバーは、外野手の岡林勇希(21)と捕手の石橋康太(22)。2人の名前は事前にメディアにも伝えられていたが、一塁側ベンチに入ってからの二人は、真剣な表情で話し合っていた。この時、根尾の名前が出たようだ。
根尾は今季、二軍で先発を任されると、7月には3試合連続でクオリティ・スタート(QS=6イニング以上の登板で自責点3以内)を決めてアピールするも、立浪監督はなかなか一軍には上げなかった(一軍合流は9月16日)。先発投手として育てたい立浪監督の意向はあるのだが、試合によってはQSとはいえ、6回121球という球数の多さ から守備のリズムが崩れるなど、問題点もあった。
「バックアップメンバーと言っても、正規メンバーにはクライマックスシリーズを戦っている阪神、広島、オリックス、千葉ロッテの選手も多く含まれています。シリーズ終了後に緊張がほぐれたために疲労が出て、チャンピオンシップに出場できなくなる選手もいるはず。大会中に入れ替わる選手もいるでしょう。特にピッチャーは疲労が怪我につながることもあるので、慎重に起用しなければなりません」(前出のNPB関係者)
二軍での根尾は、先発投手として長いイニングを投げようとするため、“出力”を抑えていた。それがシーズン終盤 まで首脳陣を悩ませた“ノーコン病”の一因になっていた。井端代表監督は「昨年同様、今はリリーフで使うべき」との意見が中日OBたちから出ていることも聞いていた。
「根尾はシーズン中も懸命に努力していました。試合後は室内に移動し、ネット投法や筋トレをやり、ファーム担当の浅尾拓也投手コーチ(38)がジッと見守っていました」(チーム関係者)
浅尾コーチは「分からないことがあったら聞きに来い」の姿勢。しかし、根尾のネット投法が単に球数をこなすものではなく、セットポジションやクイックなど実戦をイメージしながら投げていたので、「何とかしてやりたい」と思っていたそうだ。
「根尾は変化球の球種が少ないので、今のところ先発でやっていくには厳しいんです。でも、毎日投げ込みをしても壊れない丈夫さ、スピードボールを投げ続けるスタミナはリリーフ向きです。その点を井端代表監督は評価しているようです」(同前)
井端代表監督は「リリーバー・根尾」として招集した。そこで結果を出せば、根尾を先発枠で争わせようとしている立浪監督の考えも変わってくるはずだ。中日の来季は、根尾がカギを握っているようだ。
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