プロ野球「ファーム・リーグ」、2球団参入で14球団に…王貞治氏の構想に一歩近づくも新たな問題が

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王貞治・ソフトバンク会長の理想

 さて、ここで思い出されるのが、20年1月11日のTNC(テレビ西日本)の報道番組「CUBE」で発せられた王貞治ソフトバンク球団会長(83)の発言だ。

「野球界のためには、できるものなら16、あと4つ球団を誕生させてほしい」

 エクスパンション構想(球団拡大)はこれまでも語られてきた。王会長は「球団が増えれば、クライマックスシリーズでリーグ優勝できなかったチームが日本シリーズに進出しても批判は出ない」と、野球振興以外の理由も訴えていた。この発言を各球団とも真摯に受け止めていたが、具体案を示して動き出すことができず、今日まで来てしまったのである。

「沖縄にもプロ野球球団を作るべきとの声が、地方創生を掲げる自民党の提言として出されたことがあります。しかし王会長は政治主導でのエクスパンション構想には首を傾げてきました。また、どの球団幹部も言いますが、沖縄はキャンプの時期はいいのですが、ペナントレースが佳境を迎える9月に台風が集中するので慎重にならざるを得ない」(前出・在京球団スタッフ)

 手段や金銭面などチーム移動や、周りが住宅街にあるなど地方球場周辺の環境問題など、野球界だけでは解決できない問題も多々あったようだ。

 今回のファーム拡大のプランは“王会長の憂い”も解消する動きといえそうだが、こんな意見も聞かれた。

「もし、NPBの球団がハヤテ223や新潟の選手が欲しい、となったらどうするのか。球団間のトレードはできないと思われますが、2つのチームにいる元プロ選手はどういう扱いになるのかなど、まだ何も決まっていません。仮にですが、元プロ選手をシーズン途中でNPBの球団で復帰させることができたとしても、ハヤテ223、新潟のほうはシーズン途中での選手補充は難しいでしょう」(ベテラン記者)

 新たな問題も出てきそうだが、「2回目の公募」が行われれば、ファームに参加する球団は確実に増えていくのではないか。1球団ずつではなく、2球団ずつ増やすのでファームは14球団から16、18、20……と増えていき、将来、正式にNPB球団に“昇格する”団体も出てくるかもしれない。

「球団数が増えれば、リーグ優勝チームだけではなく、東西の地区の勝率トップチームがCSに進出できる新制度も可能です」(前出・同)

 地区制はセ・パのリーグ優勝チーム以外にもCS進出権を与えるというもの。これも王会長の「リーグ優勝できなかったチームが日本シリーズに進出しても」をヒントにしたものだが、リーグ優勝チームを除いた東西別の順位表を作り、その1位チームにもCS進出権を与える。これはまだ一考にすぎないが、球団数が増えることで“可能性”は広がっていく。

 今回のファーム拡大によって、60年以上続いていた12球団制は崩れ、地区制の新リーグ構想が動き始めたようだ。

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