ドラフト直前に「隠れ即戦力」候補が浮上! 独立リーグの「最速159キロ右腕」ら“有望株5人衆”
空振りを奪える球質が魅力的
10月26日に迫ったプロ野球のドラフト会議。広島が早々に1位指名を公言した常広羽也斗(青山学院大)ら大学生の投手に注目株が多い。しかし、改めて今シーズンを振り返ってみると、茶野篤政(オリックス育成4位)、松山晋也(中日育成1位)を筆頭に、福永裕基(中日7位)や船迫大雅(巨人5位)ら、ドラフトの下位や育成で指名されながら、チームに欠かせない存在になっている。今回は、今年のドラフト会議では上位指名候補に挙がっていないものの、“隠れ即戦力”となりそうな選手を取り上げたい。【西尾典文/野球ライター】
投手の筆頭格は、独立リーグの椎葉剛(徳島インディゴソックス)だ。島原中央時代は捕手と投手を兼任しており、全国的には無名だった。卒業後、社会人野球のミキハウスに進むも、公式戦での登板機会はほとんどなく、3年で退社した。ところが、今年から四国アイランドリーグの徳島に移籍すると、才能が一気に開花する。9月に行われた独立リーグの日本一を決めるチャンピオンシップでは、最速は159キロに達したのだ。
リーグ戦の成績は22試合に登板して、防御率2.31とそこまで圧倒的な数字を残しているわけではなく、39回を投げて28四死球、7暴投とコントロールに不安が残る一方で、奪三振を51個も記録しているところに、椎葉の凄さがよく表れている。
相手打者の手元で勢いが落ちることなく、球速以上の威力が感じられ、空振りを奪える球質が非常に魅力的だ。それに加えて、フォームが大きな武器になっている。テイクバックでコンパクトに肘をたたみ、体の近くで腕が振れるため、相手打者にとっては投げる直前までボールの出所が見えず、タイミングが取りにくい。
また、しっかり軸足に体重を乗せて体を前方に移動することで、ステップする動きがゆったりしている。これでフォームが単調にならないため、ボールの勢いが際立って見えるのだ。
鋭く落ちるフォークが決め球で使えるほか、スライダーのキレもいい。支配下選手が多く出場していたソフトバンク三軍戦で、たびたび圧巻の投球を見せている点も評価できる。今年で22歳と若い。短いイニングであれば、大学4年秋の松山と比べると、ボールの勢いは椎葉が上回っているように見える。中継ぎとして、早くから一軍の戦力になる可能性は十分にある。
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