インバウンド観光客がもたらした害悪「トコジラミ」が全国で増加 フランスでは社会問題に

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 来年の夏季五輪開催を控えるフランスでトコジラミ・パニックが起こっているのをご存じか。人体に有害な別名・南京虫がパリをはじめ各都市で大発生。外国からの観光客が一因とされるが、インバウンドで潤う日本も他人事ではない。

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 フランスではトコジラミを駆除するため、各地で学校の休校が相次ぎ、公共機関やホテル、劇場などが消毒のため閉鎖され社会問題と化している。専門家らはインバウンド需要の増加が背景にあると指摘。外国からの観光客数で世界一を誇るフランスゆえ、海外から招かれざる害虫まで呼び込んでしまったというわけだ。

 奇しくも今月上旬は中国の大型連休「国慶節」の真っ只中。中国から日本への航空便は軒並み満席だったと聞けば、さて日本は大丈夫なのかと心配になる。

 害虫駆除を行うシー・アイ・シーの担当者が言う。

「トコジラミは海外旅行等で訪日した方の荷物に付着して持ち込まれるケースが多く見られます。コロナによる渡航制限の緩和に伴い駆除依頼も増加傾向にあります」

不眠症やノイローゼのリスクも

 実際、都の保健所に寄せられている相談件数は、15年前の20倍にも上るという。

「1975年ごろにトコジラミは日本から一度は根絶されましたが、20年ほど前に東南アジアや中国など暖かい地域から再び持ち込まれ始め、増加傾向なのです」

 とは、公益社団法人東京都ペストコントロール協会の奥村龍一専務理事だ。

「トコジラミの体長は5ミリ前後なので、家に入り込ませないよう防ぐのは難しく、日中は部屋のいろいろな隙間に隠れてしまうので見つけづらい。そして夜中になると活動を始めて、睡眠中の人間の血を吸うのです」(同)

 トコジラミを媒介とした感染症の危険性はないそうだが、一度でも刺されると患部が腫れて強烈な痒みが1週間ほど続く。さらに、治療を受けずにいると不眠症やノイローゼ、皮膚炎になるリスクが高まるのだ。

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