残留かFAか…中田翔が来季も巨人でプレーする“不安”とは何か

スポーツ 野球

  • ブックマーク

巨人は「低迷期には大型補強」

 一見すると強面で、ふてぶてしい印象の強い中田だが、意外な面もある。外出先で球団関係者や年長OBを見つけると、直立不動で挨拶したり、大谷翔平が米球界に挑戦したときは高級万年筆をプレゼントしたりもした。

 阿部監督は「直接対話の必要性」も口にしている。今季のチーム打率2割5分2厘はリーグトップだが、阪神には6勝18敗1分け、2位広島にも8勝17敗と大きく負け越している。一発を秘めた中田の打撃力は必要であり、万が一、同一リーグに流出することになれば、脅威となる。

 慰留に際しては、阿部監督が自ら語り掛けるべきだが、「巨人は長距離タイプの新外国人選手を探していて、ポジションは外野か一塁と渉外担当者に伝えている」(ベテラン記者)との情報も流れている。「秋広が成長するまでは、一塁・中田」の原構想は阿部監督によって書き換えられるかもしれない。

「近年、外国人選手に恵まれないチームも増えてきました。未知数の外国人選手に大金を払うよりも中田のほうが計算も立ちやすい」(前出・同)

 FA権を行使すれば、複数の球団が交渉に乗り出すと見る声も少なくない。だが、今季の推定年俸は3億円を指して、「巨人ではBランクになるので人的補償が発生する」ことを懸念する他球団のスタッフもいる。それでなくとも今オフのFA市場で、他球団は巨人の出方に警戒しているという。

「これまでの巨人は、チームが低迷している間に大型補強をし、チームを立て直してきました。11年オフには杉内俊哉、村田修一(42=千葉ロッテコーチ)を獲得し、翌年からリーグ3連覇しています。18年オフも丸佳浩(34)を獲得し、19、20年にリーグ優勝しました。近年は静観していましたが、FA市場に再び参入してくるでしょう。まして、来季は球団創設90周年の節目の年ですし」(在京球団スタッフ)

 その一環として、ヤクルト・田口麗斗(28)を狙っているとの見方がある。今季から守護神となり、ランナーを背負っても果敢に内角を攻めるピッチングでリーグ2位の33セーブ、防御率は1.86。巨人だけでなく、左のリリーフを欲している多くの球団が、その動向に注目しているのも頷ける。

 ヤクルトは3年の複数年契約を提示し、話し合いを始めているが、田口自身はメジャーリーグ挑戦も視野に入れているという。それを最優先するならば、今季取得した国内FA権ではなく、来季取得となる海外権を行使すべきだろう。

「とはいえ、今オフにFAを行使するかどうかで本人は『迷っている』と話しています。これはつまり、巨人復帰の選択肢も秘めているとみてもいいのではないでしょうか」(前出・記者)

 左腕と言えば、もう一人、要注目の選手がいる。

「オリックスの左腕・山﨑福也(31)もFA権を取得しました。こちらはヤクルト優勢と見られていた時期もありましたが、巨人も強い関心を示しており、マネーゲームに発展しそうです」(同)

 一部報道によれば、ソフトバンクが中田の調査を開始したという。外国人選手に泣かされた中日、楽天もマンザラではなさそうだ。今年の国内FA市場は、中田と巨人が主役となりそうだ。

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。