残留かFAか…中田翔が来季も巨人でプレーする“不安”とは何か
「純粋に試合に出たい」
新生・阿部ジャイアンツがスタートした。16日にはコーチ陣が発表され、現役時代の阿部慎之助監督(44)とバッテリーを組んだ杉内俊哉3軍投手コーチ(42)が1軍投手チーフコーチに、同じく今季まで西武2軍投手コーチを努めていた内海哲也氏(41)も1軍投手コーチに就任した。
【写真を見る】秋広との仲良し写真など(中田翔の公式インスタグラムより)
2日前の14日午前10時。ジャイアンツ球場(川崎市)に巨人ナイン、残留する一部コーチ、球団スタッフが集合し、阿部監督が“所信表明”を行った。
「僕も変わるし、みんなも変わってほしい。そうしたら、絶対に優勝できる。伸び伸びとやってもらいたい。僕は人見知りだし、口下手だし、ふざけたこと好きだし、そういう人間なのは変わっていないので、皆さんよろしくお願いします」
2軍を主体とした一部メンバーは宮崎フェニックスリーグを戦っており、1軍と3軍しか残っていなかったが、選手からは拍手を送られるなど、新監督の歓迎ムードに包まれた。
その後、一軍のレギュラーメンバーたちは「自主トレ」となり、若い選手たちはウォーミングアップを開始した。しかし、一人だけ下を向いて帰路に就く選手がいた。取得している海外フリーエージェント権(以下=FA)を行使するかどうかで熟考中の中田翔(34)だ。
「もちろん家族があることなんで。僕一人ではないので。家族とも相談しながら考えていきたいですし。何度も言うように、野球人生一回切りですしね。純粋に試合にも出たいですし。体が動くうちはね。自分はまだ試合に出たい気持ちが強いです」
中田は途中、足を止めて取材陣にそう答えていた。
この日の練習に参加しなかったのは、右手の怪我のためだ。自転車で転倒してしまい、大事を取っただけだという。昨オフに年俸3億円の3年契約を結んでいるが、1年ごとの見直しや、期間中でも契約が破棄できるといったオプションがついており、「海外ではなく、国内移籍を考えている。巨人を去るのは確実では」(スポーツ紙記者)というのが大方の見方だが、そうなれば、来季の阿部監督のチーム構想はもちろん、今オフのFA市場にも大きな影響をもたらすことは確実だ。
19日にジャイアンツ球場で行われた秋季練習に参加した中田は、あらためてFAについて問われると「野球人生を全うする場なので真剣に考えたい。残ることも含めて」と語り、あくまでスタメン重視で代打での起用は本意でないことを語った。
可愛がっていた秋広にポジションを奪われ
「すでに知られているように、一昨年の日本ハムから巨人への移籍は、栗山英樹監督(62=当時)と原辰徳前監督(65)の個人的な関係で決められました。原監督が退き、出ていこうとする中田を引き止める理由はなくなったと見ることもできます」(前出・同)
中田の「試合に出たい」という発言について言えば、複雑な事情がある。ファンや関係者の間では“師弟”と呼ばれ、沖縄県石垣島で行った自主トレにも帯同させただけでなく、食事面も含め、何かと面倒を見てやってきた秋広優人(21)の成長が関係しているのだ。
「秋広は一塁手ですが、チーム事情で昨秋から外野守備の練習を始めました。中田が故障離脱した際は一塁に入ることもあり、試合前のノックでは中田といっしょに一塁を守っています」(前出・同)
秋広は今季最終戦となったDeNA戦(10月4日)に「7番・レフト」でスタメン出場。3打数1安打で途中交代となったが、チーム関係者たちは口をそろえて、「あと1試合あれば」と語っていた。
というのも、シーズン規定打席の443に到達するまで、あと「4打席(およそ1試合分)」足らなかったのだ。それでも、今季は121試合に出場し、打率2割7分3厘、本塁打10、打点41。一時はクリーンアップを任されるなど、飛躍の一年となった。それに対し、中田の出場試合数は92、打率は2割5分5厘、本塁打15、打点37。数字上では「将来のためにも成長著しい秋広を一塁で使ったほうがいい」ともいえるだろう。
坂本勇人(34)の三塁コンバートと新遊撃手・門脇誠(22)の台頭により、主砲・岡本和真(27)が三塁から一塁を守ることも多くなった。中田が今後の出場機会に不安を抱くのは当然だが、こんな情報も聞かれた。
「原前監督はシーズン中、『秋広よりも和真のほうが巧い』と口にしていました。何が巧いかって? 一塁守備ではありません。外野守備のことです。原監督の構想では秋広がシーズンを通して出場できるようになるのはまだ先のこと。それまでは中田に一塁を守ってもらわなければと考えていました」(球団関係者)
阿部監督もこの話を聞かされていたはずだ。だが、それを継承するかどうかはまだ明言していない。確かに中田は日本ハム時代に外野を守ったこともあるが、今シーズンをみても、腰痛など下半身のコンディション不良でベンチスタートとなる日も増えてきた。
「中田は秋広を可愛いヤツと思っているはずです。今春キャンプで早朝のアーリーワークが行われ、大久保博元打撃チーフコーチ(56=退任)が班分けをすると伝えました。中田は『秋広と同じ班にしてください。絶対に一人前にしてみせますから』と訴えました。秋広とファーストの守備で被ることは分かっていたのに、です」(前出・関係者)
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