「妻ともここで出会いました」 立ちんぼ女子を「買う」男たちの事情

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前編【立ちんぼ女子を「買う」男たちの事情 「婚活の憂さ晴らし」「恋人では得られない興奮を求めて」】からのつづき

 10月3日、警視庁保安課は東京・新宿歌舞伎町の大久保公園周辺の取り締まり状況を公表し、今年の1月から9月までに売春防止法違反容疑で女性80人を摘発したと発表した。現行の法律で取り締まりの対象となるのは、買う側ではなく、勧誘をしているとみなされる「立ちんぼ女子」だ。それでは彼女らを買う男性はどのような人物なのか。ライターの安宿緑さんがここで男性に話を聞いた。(全2回の2回目)

買うほうも売るほうもみんな税金払ってないもん

 特殊な欲望を満たすために大久保公園に来る男性もいる。公園歴10年のA氏(48歳)はこのように話す。

「私は小さい頃から肛門で快感を得ることに興味があって、お尻に入れてもらわないとイくことができない。今では手首が2本入るまでになった。でも、普通のお店では相手にされないし、SMクラブは高い。だから、ここに来てるんです」

 彼は、肛門にかける尋常ならざる探究心を語る。

「前からお尻に道具を入れる行為を自分でやっているんだけど、あれって『超えられない壁』があるんだよね。ある日、そこを超えようとしてつい頑張りすぎてしまったら、道具がズボッと奥に入って、何かを突破した感覚がした。もちろん血も出てきた。その後1日中痛みに苦しんで、耐えられなくなってタクシーで大久保病院まで行くと、敗血症と腹膜炎になっていると言われた。もう、死にかけたよね。すぐに手術して人工肛門になってしまったけれど、幸い2ヶ月後には(人工肛門が)取れた。病院にはしばらく入院して、タバコを吸いに病院の外に出たら顔見知りの立ちんぼが歩いていた。けど、誰一人私に気づかなかった」

 そういってめくって見せた下腹部には、人工肛門の痕が生々しく残っていた。傷が完治した今では、月曜から金曜まで欠かさず大久保公園を訪れ、プレイするのはそのうち週1回ほどだという。

「ここは定期的に取り上げられるけど、マスコミの意図とは逆に、報道があるたびに人が増えてしまう。今回は一番大きな波が来ていると言えますね。今と昔では集まる人間が違っていて、いわゆる『量産型』の女子たちが来るようになったのは2年前くらい。ただ、何年も継続する子はいなくて、大体すぐいなくなるね。数年経って戻ってくる子はいるけど」

 性行為をしない分、値段は相場と言われる2万円より少し安い1万5000円で交渉している(ただし、昨今の相場は1万円がベースであるという説もある)。

「意外とみんなやってくれる。新規の子もいれば、リピートでお願いする子もいる。手や腕を入れてもらうだけだから、売春防止法的にはギリギリOKだけど、後ろめたい気持ちはある。万が一これで逮捕されたら因果応報だってこともわかってる。だって、ここの連中は買うほうも売るほうもみんな税金払ってないもん。明らかに犯罪だよね」

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