立ちんぼ女子を「買う」男たちの事情 「婚活の憂さ晴らし」「恋人では得られない興奮を求めて」
値踏みするような視線
男性たちの話を聞くにあたり、筆者がとった行動は3つだった。
(1)男性記者とともに接触する
(2)1人で接触する
(3)普通に街頭に立つ
男性記者とともに接触すると、けんもほろろに断られる。1人で取材を持ち掛けても、結果はほぼ同じだ。唯一、打率が高かったのは周囲の女性たちと同様に佇み、声をかけてきた男性に会話の流れで取材の交渉を持ちかけることだった。
もちろん交渉は断られることもあったが、筆者が私服警官、または悪質な店のキャッチである可能性だって十分あるのに、なぜこうも素直に応じてくれるのか不思議でもあった。断っても、「YouTuberに映されないように気をつけなよ」と親切に助言してくる男性もいた。
そういった対応に接するうちに、彼らが求めているのは性行為そのものではないのではないか? という仮説が浮かんだのだ。その仮説は、男性たちの話を聞くうちに少しずつ立証されることになった。
それにしても公園に着く手前あたりから、周辺を徘徊する男性たちがこちらを値踏みするように凝視してくることには驚いた。立っていると、30cmほど近くから、わざわざ顔を覗き込んでくる男性もいた。女性はここを通りかかっただけでも、四方八方から無遠慮な視線を浴びることになるだろう。
「立ちんぼに共感する人って誰?」
公園に集まる男性同士のコミュニティもできている。
女性が立っている病院前の反対側にあるガードレール沿いでは、ここで知り合ったとみられる若い男性たち5、6人が「今度飲みに行こうよ。LINEグループ作ろう」と盛り上がっていた。「可愛い子がいたらすぐ行ったほうがいいよ。リスクあるけどね」などと“アドバイス”をする場面もあった。その中心にいたのが、マサユキ氏(仮名・31歳)だ。
IT企業に勤めているマサユキ氏は、長期休暇のたびにここを訪れ、これまで3回ほど女性を買った。ストレス発散のためだという。マサユキ氏は路上売春への同情論に、強い反発を示した。
「立ちんぼに共感する人って誰? いるの? そんな奴。ここにいる半分はホス狂いですよ。金のために気持ち悪いおっさんと性行為できるか、できないかの違い。生活苦っていうけど、あいつら月200万円近く稼いでるじゃないですか。仮に1回15000円で1日6回客を取れば9万円、週5で45万円、それが4週間で180万円でしょ。俺より全然稼いでるじゃん」
そんなマサユキ氏は、最近はホテルに行くよりも、眺めるほうに楽しみを見出していると語る。
「おっさんと女の子の会話の内容に聞き耳を立てたり、交渉成立したかどうか見たりするのが楽しい。おっさんと女の子が移動し始めたら後をつけていったりもしますね」
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