「売り上げ目標は月商500万円」 無人書店「ほんたす ためいけ」がオープン、三つのセキュリティー対策とは?

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 総理官邸の目と鼻の先、東京メトロ溜池山王駅構内に完全無人書店「ほんたす ためいけ」が先月26日、オープンした。約15坪と駅ナカによくあるコンビニほどの小ぶりな店内には話題書、雑誌、マンガなどが豊富に並ぶが、何せ店員はいない。

 利用法にはひとつだけお約束がある。初回入店時のみ、店頭にあるQRコードからLINEで会員登録を行うこと。あとは出入り口の端末に会員証をかざしてドアを開けて中に入る。支払いは本のバーコードをレジに読ませ、キャッシュレスで済ませればOKだ。

 なぜ無人にしたのか。運営と管理を担う日本出版販売(日販)に聞くと、

「昨今、駅ナカ・駅前立地の書店の閉店が増加しています。2016年から21年までの5年で、全国の駅周辺で約60の書店ができた一方、約120が閉店しました。生活動線上から消費者と本のタッチポイントがなくなって読書習慣が失われることに危機感を抱き、持続可能な書店モデルを作ろうと考えたのです」

三つのセキュリティー

 問題は賃料と人件費だが、賃料を削るには限界が。

「飲食業や書店以外の小売業などと伍していくには、それなりの賃料を負担して良い物件を確保するしかない。となると削るべきは人件費に限られ、そのため無人運営に挑戦することにしました。売り上げ目標は月商500万円。溜池山王駅の1日の利用者2万1千人のうち3%が入店し、その3割の方が購入してくだされば達成できる数字で、十分な利益が出ます」

 万引きの心配はない?

「三つのセキュリティー対策を施しました。まず、低い本棚を並べて店内が見渡せるようにし、店外の人からの視線も届く造りにしたこと。次に、LINEを通じた入退店管理により、お客さまがいつ滞在したかを把握できるようにしたこと。三つ目として、複数台の防犯カメラでリアルタイム監視を行っています」

 万引きが発生した場合、カメラのデータから犯行が起きたと推定される時間を割り出し、滞在していた会員を照らし合わせ、次回からの入店をブロックするなどの措置も取れるという。

 今後の展望は?

「ブランドを認知してもらうためにも、書店モデルの検証のためにも、いろいろな場所に出店したい。ターミナル駅や住宅街に近い駅周辺も含め、今後数年で20店舗ぐらいを目指しています」

 あちこちで労働力不足が伝えられる昨今でもあるし。

週刊新潮 2023年10月19日号掲載

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