【宝塚歌劇団】新興宗教、イジメ裁判、美人局…「美しくも清くなかった」黒歴史を元週刊誌記者が証言
“あの宗教“に入信しないと役がもらえない
「結局、なにも変わっていませんでした。そもそも、こういった過度な習慣こそが、宝塚の“伝統”でもあったのです」
と語るのは、週刊新潮のOB記者である。実は、それら“伝統”は、週刊新潮誌上で何度となく報じられていた。
「1986年のことです。宝塚歌劇団内部で、何やら新興宗教が流行していて、それに入らないと役がもらえないとの噂が伝わってきたことがありました」(OB記者)
それが《宝塚歌劇を操る「新興宗教」》という同誌のスクープ記事だった(1986年10月16日号)。
「この情報は同時に複数のルートから入ってきました。いまだからいえますが、そのひとつが、作家の故・野坂昭如さんでした」
『火垂るの墓』などで知られた作家・野坂昭如氏の2人の娘さんは、ともに宝塚歌劇団に在籍していた。ちなみに夫人も元タカラジェンヌである。そのせいか野坂氏は、意外と宝塚の内部情報に詳しかった。記事中でこんなコメントを寄せている。
《「二年ぐらい前ですか、娘から“お父さん、A(記事では実名)って何なの”と聞かれましてね。最近、宝塚で、よく耳にするというんです。僕は全然知らなかったから、“決して入っちゃいけないよ”と諭しましたが」》
「野坂さんは、もう少し詳しくご存じでした。当時、雪組のトップだった平みちがAなる宗教に凝っていて、後輩たちに入信を勧めるので、みんな困惑している。従わないといい役につけないので、雪組は続々とAに入信しており……というような噂でした」(OB記者)
華やかな乙女たちを虜にする宗教とは、どんなものなのか。この記者氏は、さっそく関東近県にあるA本部へ行ってみたという。
「そうしたところ、あまりに小さくて地味な宗教なので、拍子抜けしてしまいました。本部といってもふつうの家で、昭和28年設立。法華経を唱える先祖供養の団体でした。会費も月50円(現在は100円)で、寄付も賽銭もお断り。なぜこのような新興宗教にタカラジェンヌがご執心なのか、最初は理解に苦しみました」
その理由は、取材を進めると判明した。
「平みちは歌劇団のダンス教師に勧められて入信していたんです。いわば彼女も犠牲者でした。結局、何でもかんでも先輩格に従うという音校生時代に染み付いた体質は、歌劇団員になっても変わることはないんです」
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