「BL作品ブームでもジャニーズは起用できない」 「ジャニーズドラマ」が今後さらに減る理由

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バディものは激減、恋愛ものも冬の時代…一方で増えたBL作品

 また多様性を重んじる社会変化も相まって、取り上げるテーマも大きく変化している。例えば女性同士の絆を描くシスターフッドものは増えた一方、「相棒」のような男性どうしのバディものは減った。先日は増田貴久さんと浮所飛貴さんの「ギフテッド」が放送開始したが、古くは山下智久さんと亀梨和也さんの「野ブタ。をプロデュース」や中島健人さんと平野紫耀さんの「未満警察 ミッドナイトランナー」、生田斗真さんの「ウロボロス~この愛こそ、正義。」など、イケメンバディものもジャニーズの主戦場のひとつだったはず。けれども今期は男性コンビより、年の差男女コンビのものが目立つ。

 一方でジャニーズが起用されがちな少女マンガ的王道ラブストーリーも、冬の時代を迎えているのではないか。夏の月9「真夏のシンデレラ」なども散々な言われようだったが、健康的な男女のベタすぎる恋愛ドラマは冷笑的に消費される一方だ。

 でも恋愛を扱うドラマの中でも、増えているテーマがある。それが不倫ものとBLものだろう。中でも今期は4作品がBLという大豊作である。前作が大ヒットした「きのう何食べた?season2」のほか、「君となら恋をしてみても」「君には届かない。」「ワンルームエンジェル」と、BLマンガの実写化が相次いでいる。民放ドラマで描かれる同性愛者は脇役が多かっただけに、大きな変化といえる。

 ただBLというテーマとジャニーズという名前は、現状では相当に相性が悪いと言わざるを得ない。大河ドラマ「どうする家康」では徳川家康役の松本潤さんと織田信長役の岡田准一さんのやり取りがBL的と話題になったものの、安易にブームに乗っかった悪ふざけに見えては反感を買う。

 作品性と考察を楽しむという視聴スタイルの変化と、BL実写化ブームという二つの変化。事務所が新体制になるにしても、ドラマでのジャニーズ起用には逆風が吹いている状態かもしれない。ただ個人的には風間俊介さんや重岡さんの演技力は本物だと思うし、事務所名で選ばれたと言われたくないのは誰よりもジャニーズタレント自身に違いない。さて、ジャニーズ出身の俳優の中で、誰が生き残り、誰が消えるのか。まさに熾烈(しれつ)な「人間ドラマ」が、体制刷新後に見られるのは確かだろう。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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