「BL作品ブームでもジャニーズは起用できない」 「ジャニーズドラマ」が今後さらに減る理由

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 ジャニーズタレントの起用に難色を示しているCMスポンサーとは対照的に、秋ドラマでは相変わらず各局ジャニーズ主演祭りである。日本テレビ系では「ゼイチョー! ~『払えない』にはワケがある~」にSexy Zoneの菊池風磨さん、「君が死ぬまであと100日」にHiHi Jetsの高橋優斗さんを起用。TBSでは「マイ・セカンド・アオハル」主演はなにわ男子の道枝駿佑さんだ。目立つのがテレビ朝日系で、「単身花日」の重岡大毅さん(WEST.)&田中樹さん(Six TONES)や相葉雅紀さんの「今日からヒットマン」、藤井流星さん(WEST.)の「18歳、新妻、不倫します。」とジャニーズだらけ。すでに独立しているとはいえ、松岡昌宏さんの「家政夫のミタゾノ」もある。ジャニーズ解体となる前にキャスティングと撮影が進んでいたのだろうが、それでもやはり異常な数にも思える。

 傾向としては、マンガ原作の実写版が多い。ドラマ離れといわれて久しい中、ジャニーズファンと原作ファンなら必ず見てくれるだろうと視聴者層を当て込んでいるのかもしれない。ただ、ジャニーズだから、という理由だけで出演を糾弾するのはよくないが、性加害問題以外でも逆風を感じる「二つのブーム」が起きているように思う。

ドラマは役者よりスタッフで選ぶ時代? SNSの拡散と「考察」ブーム

 一つは、役者より制作陣に注目するドラマファンが増えたのではということだ。坂元裕二さんや野木亜紀子さんといった人気脚本家は多くの人の支持を得ているし、今期も「MIU404」や「最愛」などを手がけた塚原あゆ子さんと新井順子さんによる「下剋上球児」や、「silent」の脚本家・生方美久さんと村瀬健プロデューサーによる「いちばん好きな花」の前評判は高い。前クールで話題になった「VIVANT」も、「半沢直樹」を生んだヒットメーカー福澤克雄さんが演出ということで、期待を裏切らない話題作として人気を集めた。

 彼ら彼女らはマンガ原作ばかりの時代で、オリジナルの脚本で挑む勝負師たちだ。その作品の売りはジャニーズタレントの名前ではない。妥協のないドラマ作りに、余計な忖度は持ち込みたくないという意思の表れではないだろうか。

 展開が分かっているマンガ原作と違い、オリジナル脚本の良さは先が読めないことだ。それはSNSにおける「考察」ブームと相性が良い。今やドラマの注目度を左右するのは公式の宣伝よりもSNSでの話題性。世の中で評判になっているといわれて初めて見るという視聴スタイルも増えた中で、主演俳優がカッコいいというだけでは何のアドバンテージにもならない。信頼できる作り手たちによる、巧みなストーリーや演出、グッとくるセリフの数々。それらを純粋に楽しみたいドラマファンにとって、主演俳優に関わるスキャンダルはノイズにしかならない。そうした空気感を感じ取っているヒットメーカーたちにとっても、現在の状況はジャニーズを起用しようというモチベーションを下げるものになるのではないだろうか。

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