「実質賃金」はバブル崩壊直後と同水準 この30年で“最悪”の数値を記録した「岸田不況」という地獄図

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「未来への絶望」政策

 今回の計算法は、多くのシンクタンクなどで採用されているのと同じ手法を用い、毎月勤労統計の名目賃金指数を分子とし、総労働時間指数を分母に。一人当たり名目賃金指数を同総労働時間指数で割ったものを時間当たり賃金指数とし、さらに消費者物価指数で割るなどして算出されたものという。

「岸田政権が発足した21年の指数は99.80。ところが今年上半期には一気に92.95にまで急落し、“失われた30年”と呼ばれる97年以降、最速の下げ幅を記録しています。もちろん最大の要因として物価上昇が挙げられるのですが、それに賃金がまったく追い付いていない現状が浮き彫りになっている。物価抑制に効く“魔法の政策”はありませんが、なればこそ、賃金を上げる施策を強力に推し進めるべきなのです。例えば中小企業も含めて、賃金を上げた企業に税制上の優遇措置を与える政策などをリーダーシップを発揮して実行していれば、ここまで極端な落ち込みは防げたはずです」(田代氏)

 労働時間当たり実質賃金指数が下がるということは、労働分配率が下がっていることを指し、つまりは決算など見かけ上の数字は良くても、労働者にまでその“果実”が行き渡っていないことを意味する。

「経済政策で重要なのは“未来への希望”を抱かせることです。ところが現実は、“生活は苦しいのに岸田首相は何もしない”と国民の間に諦めや絶望が広がっている。そんな状況下で増税を行えば、希望が完全に消失しかねない。いま検討されている減税案も、肝心の給与を上げる対策に比べれば、所詮は弥縫策に過ぎません」(田代氏)

 支持率のためでなく、国民生活を守るための政策が早急に求められている。

デイリー新潮編集部

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