世界から認められたいけど認められない 異端児「リブゴルフ」の苦境

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世界ランキング対象ツアーになるために必要なこと

 そしてもう1つの理由は、リブゴルフが「閉ざされたツアー」であるという点だった。

 創立当初からの48名は、移籍料や選手自身の希望、あるいは有名選手や著名人の家族ゆえの忖度もされた上で寄せ集められたと言っていい。

 その48名が、肝心のゴルフが好調であろうと不調であろうと、その場にとどまっているのでは、健全なプロゴルフツアーとは言い難い。リブゴルフには選手の新陳代謝のシステムや外部から新たな選手が入るための扉がほとんどなく、オープン性や公平性に欠けていることが世界ランキングの対象ツアーとして認められない理由であることをドーソン会長は強調した。

 ただし、ドーソン会長は「ソルーション(解決策)を見つけることを期待している」という前向きな言葉も付け加え、リブゴルフが自ら扉を開けば、世界ランキングの対象となりうる可能性も示唆した。

 リブゴルフが4名の選手を降格としたことや、オープンゾーンや遊軍の設定などは昨年から決まっていたことではあるが、ケプカの弟であっても降格し、メジャー・チャンピオンであってもオープンゾーンに位置付けるといった毅然とした動きを見せたことは、「世界から認められたい」と願うリブゴルフのプロフェッショナルなゴルフツアーとしての確固たる意思表明のように思えてならない。

 リブゴルフの未来は、正直言って「確固たる」状況ではない。2024年シーズンの実施だけは決まっているものの、その後のことはすべて未定。解散説も囁かれているが、少なくとも来年も存続する以上は「プロの意地」を見せていただきたい。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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