世界から認められたいけど認められない 異端児「リブゴルフ」の苦境
創始メンバー48名の明暗
リブゴルフは2022年6月に英国ロンドン郊外で初戦が開催され、当初から出場していた選手には、破格の移籍料をオファーされたフィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソン、セルヒオ・ガルシア、グレーム・マクドウェルといった元PGAツアーや元DPワールドツアーの選手が目立った。
だが、ゴーチや弟ケプカ、あるいはピーター・ユーラインのように、既存のツアーでは経験も活躍も乏しく、あまり目立たなかった選手の姿も見受けられた。
そうした選手たちに移籍料は支払われなかったと言われている。彼らは、移籍料がもらえなくても、高額賞金を手に入れる可能性に惹かれてリブゴルフにやってきた。
そして、リブゴルフは設立当初、「リブゴルフに出たい人はウエルカム。来るものは拒まず」という具合に受け入れてはいたが、「定員に達し次第、締め切ります」という早いモノ勝ちの椅子取りゲームのような状態でもあった。
そうやって確定した48名の創立メンバーは、4人1組の12チームに分かれ、毎試合、同時進行で個人戦とチーム戦を競い合っている。
しかし、48名の中には、好調の選手もいれば不調の選手もいる。絶不調の選手がいれば、チーム戦の成績に影響し、仲間の選手の稼ぎやポイントランキングにも影響する。そのため今季から、独自のポイントランキングに基づく「入れ替え制」と「クラス分け」が実施されることが発表されていた。
ポイントランキング1位から24位までのトップ24名は、来季も立場は安泰だ。だが、25位から44位までの20名は「オープンゾーン」入りとなる。
オープンゾーンに入ると、チーム間のトレードの対象となる。米国出身のマシュー・ウルフやパット・ペレス、南ア出身でマスターズ覇者のシャール・シュワルツェル、英国出身で全米オープン覇者のグレーム・マクドウェルらがオープンゾーン入りすることが決まった。
さらに、オープンゾーンの20名のうちの4名から8名は、2024年はチームに所属しない「遊軍」扱いとなるそうだが、遊軍の明確な定義は今のところ不明だ。
そして、ランキング45位から48位の下位4名は来季の出場権を失い降格。この4名と入れ替わりに、今年末に初めて実施される予定のオープン・クォリファイング(予選会)を勝ち抜いた3名とアジアツアーの賞金ランキング1位の計4名が、来季の新メンバーとして加わることになる。
フォーマットの違いを指摘
「リブゴルフを世界ランキングの対象ツアーとして承認してほしい」「リブゴルフの大会に世界ランキングのポイントを付与してほしい」とは、リブゴルフが昨夏以来、声高に叫び続けてきた悲願だった。
しかし、世界ランキングをつかさどるOWGR(オフィシャル・ワールド・ゴルフ・ランキング)のピーター・ドーソン会長は、10月10日付けでリブゴルフの申請を正式に却下した。
その決定を耳にしたリブゴルフを率いるグレッグ・ノーマンCEOは、「プロゴルフ界は真のランキングシステムを失った」とOWGRを批判。同時に、落胆と失望が隠せない様子だった。
却下した理由としてドーソン会長がまず示したのは、「異なるフォーマット」という点だった。予選落ちのない3日間大会をショットガン形式で競い、個人戦とチーム戦が同時進行されるリブゴルフのフォーマットが、既存の他のツアーとあまりにも異なるため「フェアな比較が難しい」とした。
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