「師匠の無法と戦う姿に心を打たれた」 師匠を訴えて破門された吉原馬雀を受け入れた吉原朝馬が語る決意「彼のような若者が二度と出てこないように」

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 落語の世界も悲喜こもごも。昨年末に本誌(「週刊新潮」)が報じた師匠と弟子のトラブルが、思わぬ展開を見せている。

 三遊亭天歌を名乗っていた、当時二つ目の井上雄策氏(41)が、師匠の三遊亭圓歌(64)から繰り返し暴言や暴力行為を受けたと、東京地裁に訴え出たのは昨年暮れのこと。井上氏は圓歌から破門され、逆に名誉毀損で警察に被害届を提出されたが、このほど新たな師匠の元で再出発が決まった。

「昨年10月の破門後に高座名を返上して、落語協会には本名で所属していました。このたび吉原朝馬(ちょうば)師匠(74)の弟子となり、吉原馬雀(ばじゃく)として出直すことになりました」

 と、馬雀は笑顔を見せる。

「昨年、落語協会で行われたハラスメント対策の説明会で、朝馬師匠は“ハラスメントは許すべきではない”と毅然と主張された。その折に話をする機会があり、行き場に困っている私を弟子に取って下さるとの手紙まで頂いた。尊敬できる方ですし、お言葉に甘えさせていただきました」

「一人の人間としても当然のこと」

 朝馬は人情噺(ばなし)を得意とした、10代目金原亭(きんげんてい)馬生の門下。杉良太郎(79)の呼びかけで結成された、著名人による特殊詐欺の被害撲滅を訴えるプロジェクトチーム「SOS47」の一員という顔も持つ。義理と人情に厚い朝馬の発言は、いまも上下関係が厳しい落語界で耳目を集めたという。

 当の朝馬が、馬雀を弟子に迎えた理由を明かす。

「以前から、私は落語界のハラスメント行為に疑問を持っていましてね。馬雀は師匠の無法とたった一人で戦っており、その姿と強い落語愛に心を打たれました。辛い境遇に陥った仲間の声に耳を傾けるのは、落語家としても、一人の人間としても当然のことです」

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