チュニジアのカドリ監督も大絶賛 久保建英のプレーはどこが凄かったのか
韓国に0-4と完敗したせいもあるだろうが、ジャレル・カドリ監督が「日本チームは攻撃的で、個人としても集団としても速く、熟練度のある試合をしていた」と分析したように、チュニジア代表は試合開始から徹底して守備を固めてきた。
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いつもの3BKにDFをもう2人増やす5BK、そして中盤は4人、前線にG大阪でプレーするFWイッサム・ジェバリを残す5-4-1の布陣だ。DFラインはかなり低く、マイボールになっても5BKの中央3人は押し上げることはせずに自陣に残り、日本のカウンターに備えた。
6月のエルサルバドルとペルー戦、9月のドイツとトルコ戦、そして今月13日のカナダ戦は、いずれも相手がオープンな打ち合いを挑んできた。だがチュニジアは徹底して守備を固めてきた。このため右MF伊東純也がボールを持っても快足を披露するスペースがまるでない。
象徴的だったのは前半28分のプレーである。CB冨安健洋がミドルサードで意図的にゆっくりとボールをキープしても、チュニジアはジェバリをはじめ全体のラインを押し上げてプレスを掛けに来ないのだ。
冨安からすれば「食いついて来ない」といったところだろう。迂闊にラインを上げてDF陣の背後にスペースを作ったら日本にやられるとでも思ったのか、守備の意識は見事なまでに統一されていた。
カナダ戦もトルコ戦も、早い時間帯でのゴールで日本はアドバンテージを握ったが、さすがにここまで守備を固められては攻めあぐねた。しかし、これはこれで歓迎すべきシチュエーションと言っていい。
浅野、古橋、上田の“最激戦区”
なぜなら、11月から始まるW杯アジア2次予選や来年1月のアジアカップでは、ほとんどの対戦相手がチュニジアのように守備を固めてくることが予想されるからだ。こうした状況をいかにして打開するか。格好のシミュレーションと言えた。
カナダ戦ではFW浅野拓磨の成長と、FW古橋亨梧に浅野と同じような長い距離をドリブルで突破するようなプレーは難しいことを指摘した。むしろ引いて守りを固める相手のほうが古橋の良さが生きるのではないかと。そして古橋は、見事に結果を出した。
ボランチの守田英正が起点となり、久保建英と旗手怜央の3人がパスをつないで中央突破を図ると、古橋はフリーになって旗手のスルーパスに抜け出した。GKとの1対1を古橋が外すことはなく、冷静にゴール右スミに先制点を流し込んだ。
浅野に続いて古橋も結果を出した。こうなると負けられないのは、古橋と交代で後半からピッチに立ったFW上田綺世である。しかし、チャンスに絡みながらもなかなかシュートを打ちきることができず、後半29分の一撃も左ポストに阻まれるなど目に見える結果を残すことはできなかった。日本代表の2列目は“最激戦区”だが、3人による1トップ争いも今後は激しさを増しそうだ。
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